心がへった

@maanys

第1話


物心つくころ、私はベランダでキラキラしてる街をよく見ていた。あのキラキラした街でママは、夜の仕事をしている。



おじゃる丸が少し嫌いだった、当時3歳。鏡を見ながらお化粧をしているママは、おじゃる丸のエンディングが流れたらキラキラした街にすいこまれてしまう。


「ピンポンなっても絶対にあけちゃダメ」


部屋に1人でいた。買ってもらったであろうコメディDVDをひたすら再生して、10回見たらママは、帰ってくる。一度、早回しをしたら早く帰ってくるんじゃないかと試したけど、そんなわけはなかった。


キラキラした街と住んでいたマンションは、信号のない横断歩道を渡るだけで入ることができた。コメディDVDを早回しで10回見たのに、帰ってこないことに胸がザワザワした。あれはなんだったんだろう。


覚えていることは、

3歳の私には1人で横断歩道を渡ることは大冒険だったこと。キラキラした街にすいこまれたこと。スーツのお兄さん達とママを探して回ったこと。

その時ずっと泣いていたこと。



その後無事、ママが働いてるパブにたどり着き一週間ほど一緒に居てくれたけど、中学生あがるまで夜1人生活は続いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

心がへった @maanys

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る