引きこもり兄妹〜身体を入れ替えてそれぞれの学校に通う〜
猫丸
マジで入れ替わったじゃん
「愛しき妹よ」
「何?愛しきお兄ちゃん」
「お前、留年するぞ」
「……中学生は留年しないんだよ。お兄ちゃんこそ危ないじゃん」
俺、
「お前を一人にさせたくないんだ。お前を一人にするくらいなら俺は留年する。
そして、来年お前と同じクラスになる」
俺の妹、
俺は十六歳の高校一年生。結は中学三年生だ。
結は、銀髪ロングヘアーの美少女だ。背は小さいが出るところはそこそこ出ている。しかも頭も良い。
しかし、それ故に学校でイジメにあって不登校となったのだ。
そして、俺は愛する妹を一人にできずに一緒に引きこもった。
「お兄ちゃんと同級生っ?!……いいかも」
「だろ」
「『だろ』じゃないわよぉ!!」
ドンっと音を立て勢いよく誰かが部屋に侵入する。
お母さんだ。
「……あなた達、一線越えてないでしょうね……」
「越えてない」
「仲良くベッドに入っているのを見て、信用なんかできないわよ」
「ベッドが一つしかないから仕方がない」
「もう、何も言わないわ。
……そんなことより結は良いとして、悠は学校に行きなさい!!」
何故か、お母さんが激怒している。
「……」
「頭おかしいのか?みたいな顔で私を見るな!!」
いや、だっておかしいだろ。
結を一人にするなんて俺死ぬよ?
「とりあえず明日から学校行きなさい!じゃないと追い出すからね!!」
「お兄ちゃんが出ていくなら私も出ていく!」
俺に抱きつきながら結が声を上げる。
「えぇ?!も、もう追い出さないからちゃんと学校に行って!!」
お母さんが困惑して出ていった。
◆◇◆◇◆◇
「お兄ちゃん……」
俺はどうすればいいんだろうか。
明日から学校に行くのか?
「結……」
俺の膝に座る結の頭を撫でる。
「……お兄ちゃん、私学校に行く」
「……え?
無理するな!お前の傷つくところなんて俺はもう見たくない!」
後ろから結を抱きしめる。
「私も行きたくない」
「なら――」
「だからお兄ちゃんが私の学校に行って。私がお兄ちゃんの学校に行くから」
「いや、できないだろ。俺という存在で結の美しさを表現できるわけがない」
変な言い方になったけどつまりは、俺が行ったらすぐバレるだろ、ということだ。
「そんなことない……と言いたいけど体格の差からバレる。
だから、体を入れ替えよう?」
「分かった。やろう、今すぐ」
少し早口になってしまったけど、そこに決してやましい気持ちなどない。
結がトコトコと歩き出し、一つの小瓶を持ってくる。
緑みたいな青みたいな色の液体が入っている。
結がそれを口に含み俺に近寄る。
俺の肩に手を置き口を寄せる。
「……ん」
そのまま俺の唇を奪った。
「んん?!」
結の舌が俺の唇をわり、侵入する。
そして、謎の液体を無理矢理飲ませてきた。
謎のドリンクはどんなジュースよりも甘かった。
「ぷはっ」
数十秒でようやく開放された。
「うわっ、俺がいる!!」
目を開けると俺の目の前には俺がいた。
うん、何言ってるのか分からなくなりそうだ。
そして、俺が結になっていた。つまり、入れ替えっていうのが成功したと言うこと。
身体を見てみると確かに結だ。
「成功」
目の前で俺が微笑んでいる。
そんなことよりもっ!!
「結……少しだけ触っていい?」
「お兄ちゃん……私もいい?」
「せーの、で行こう」
「「せーのっ……」」
◆◇◆◇◆◇
「明日から俺は結の学校に行こう」
「私はお兄ちゃんの学校に」
俺たちは一ヶ月ぶりに学校へ行くことにした。
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