妹の学校

 昨日、過度な興奮によって倒れた俺たち。

 そのまま朝を迎えた。だが以前と身体は入れ替わったままだった。


 結は俺の部屋に行った。


 俺は今、結の部屋にいる。一人で……。


 ダメだ!落ち着け!兄として越えてはいけない一線があるだろッ!


 クソっ……だがどうしても俺の両手が双丘に……ッ!!


 いや、待て!俺の今の姿はパジャマ。

 つまり俺は今から制服に着替えないといけない。


「……触れてしまうのは不可抗力」


 俺は恐る恐る服を脱いでいく。


「くっ……これはっ」


 純白の下着。


「ぐはっ」


 可愛すぎるだろ……。


「はぁ、はぁ、はぁ……次は制服を着よう」


 俺の高校もそうなんだけど、結の中学は制服がブレザーとなっている。


「うわー、何かスースーする。よくこんなんで外を歩けるな」


 ……結ごめんな。


 ひらっ

 カシャ


 パンチラの写真がどうしても欲しかったんだ。


「髪型どうしようかなー」


 無難にポニーテールにしよう。


 結は元々可愛い。だけど結はあまり髪型を整えたりしないんだ。

 俺はそれが凄くもったいないと思い、色々と勉強した。髪の結び方。肌の手入れ。化粧など。


「ダメだ……可愛すぎるッ」


 俺は今日改めて結が世界一可愛いことを認識した。


「結、悠、ご飯出来たわよ」



◆◇◆◇◆◇



「……二人とも今日どうしたの?」


 俺と結を見てお母さんが啞然としていた。


 どうしてだろう。


 ……それにしても、何か俺がかっこよくなってんだけど。

 結、凄いな。


「結、本当に学校に行くの?」


 ……。


 無言が続く。


 ツンツン。隣から結が太ももをつついて来た。


(お、に、い、ちゃ、ん、へ、ん、じ)


「あっ、うん、そうだよ。行くよ」


 俺ってそういえば結だったな。

 危ねー。


「無理だけはしないでね」


「うん、大丈夫」



◇◆◇◆◇◆



 あの謎の液体なんだが、結によるとあれを互いに口づけで飲ませ合うことで入れ替わるらしい。

 戻るにも同じ動作を踏まないといけない。


「お兄ちゃん、道分かる?」


 本当に違和感を感じる。目の前で俺が喋っているから。


「おう」


 去年まで一緒に行ってたからな。


「お兄ちゃん、学校でイジメられるかも……ごめんね」


 結が俺の姿でしゅんとなる。


「安心しろ。そんな奴いたら、ぶっ飛ばしてやるから」


 どうして、結がこんな目に遭わないといけないのか。

 ただ世界一可愛くて、天才なだけなのに。


 俺は憤りながら学校へ向かった。


『え?誰、あの可愛い子?』


『神代さんだ……嘘っ、さらに可愛くなってるんだけど……ッ』


 ふっ、だろ?

 俺の妹は世界一可愛いんだ。


 そして、それを際立たせる俺の歩き方かな。

 結の可愛さを一番よく知っているからこそ、できる技。


 さあ、結に惚れろ。


 でも、惚れたところで結の隣には俺がいるんだが。


「えっと……結のクラスは確か……あ、ここか」


 教室に入った。

 ……のはいいんだけど、結の席どこ?


『……うわぁ、久しぶり来た』


『何か可愛くなってね?』


『……そうだけど、姫が……』


「あら〜?結じゃなぁい。会いたかったわ」


 金髪ロールのザ・お嬢様みたいな女の子。

 この子が『姫』か。


「黙ってブズ」


 うん。コイツだ。

 俺の愛しき妹をイジメてた奴。


「んなっ」


 おいおい、女の子がそんな顔をするなよ。


「黙ってって言ったの。私が可愛いからって嫉妬しないで。

 確かに私は可愛い。このさらさらの銀髪。つぶらな瞳。こぶりな鼻。小さな唇。うん、いつ見ても完璧。

 まあ、一応謝っとくわ。(俺の妹が)可愛いすぎてごめんなさい」




 







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