雨宿り
尊(みこと)
神社
とある日の下校途中、
「あ、雨だ…」
いきなり雨が降ってきた。どんどん雨が強くなっていき私は近くのちいさな神社に雨宿りをした。
「あ、恋みくじ…」
その恋みくじに心が誘われた。
私は恋愛系の創作物が大好きで、よく見ていた。
「うわー!いいなー!!わたしもいきなりイケメンが現れて突然の恋に落ちてー!!キャ~!… ほんとに現れたらいいのに…」
そんなことを思う日々だった。
「ひいてみよ!」
お金を入れるチャリンという高い音があたりを響かせた。
そして私はその恋みくじをすぐさま開いた。
「恋の予感はすぐそこに。初対面でもしっかりと関わることが大切。 か… これこそ突然出会ってひとめぼれ!とかじゃないのかな?!」
私は期待心を抱いた。
「ドンッ!」
いきなり人がぶつかってきた。
そこにいたのはびしょびしょに濡れた制服を着た黒髪の男性だった。
「ど、どうしたんですか?雨宿りですか?」
私は軽く聞いてみた。
「あ、はい」
すごくそっけない返しだった。
「…」
私はなんとなく静かな感じにした。
「あ、そういえば、お前樹森恵だろ?俺の席の隣の」
「え?」
私は普段学校で周りを見ることをしないからそういう事実に多少驚いた。
よく見れば同じ学校の制服だった。
「えっと…」
「お前周りみなさすぎな、俺は冬田明青(ふゆだあおい)」
確かに聞いたことのある名前だった。
「冬田さん?」
「そ、でも明青でいいよ?」
「…」
「てか、お前も雨宿り?」
「…」
「なんか言えよ。ま、こんな状況でその服の濡れた感じ雨宿り以外ないと思うけどね。」
「………」
(好みのイケメーン!!!! 私の隣ってこんなイケメンいたの?!やばすぎ?!)
「あ、晴れた そういえば恵、兄弟とかいる?」
「うん、双子の妹と弟が」
「へー、なんか昨日姉さんが「明日私の誕生日だから!!ね!!よろしく!!」ってさ、でも何も買ってないんだよね」
「えー、やば」
「でさ、今日暇?買うの付き合ってくんない?」
「いいよ!」
(やばいやばいやばいやばいやばい…付き合ってくんないって… もう… ヤヴァ…)
「でさ、この世の姉さんは何を求めてるの 弟にもらったら嬉しいものとかある?」
「うれしいものか… 基本的に何でも嬉しいけど、前話していたときにほしいって言ってたものとかは、話聞いてくれてたんだなーとかもあいまってすごい嬉しいかも。 てか、お姉さんって大学生?」
「うん」
「じゃあサークル活動とか、個人的な活動とかで必要なものとか?」
「サークルか… 知らないな、」
「個人的な活動は?」
「あ~、よく絵描いてネットにアップしてる」
「おぉ!デジタル?アナログ?」
「デジタル」
「そっかー、じゃあパソコンとか使ってる?」
「うん、つかってる」
「じゃあ、予算!決まってる?」
「1万円以下なら何円でも」
「じゃあ板タブとかは?」
「なにそれ」
「パソコンにつなげて使うタブレットで、絵を描くやつ」
「へー」
「安いものなら5000円とかで買えるし、よくない?」
「あー、いいね どこで買うの?ネット?」
「そうだね、ネットだね、」
「ほら、どれ買えばいい?」
すぐスマホを開き調べて聞いてきた。
「これ!私はこれ使ってる!」
「え?持ってんの?」
「うん!絵で育てられてきたから、」
「へー、とりあえずこれ買っておけばいい?」
「うん」
「よし、ありがと あ、ちょっとさ、メール繋げない?」
「え?!いいよ?!」
「うん、ありがとう」
「…」
「…」
「あのさ!一緒に帰らない?」
「ごめん」
「今日は、ごめん」
「あ、だ、だよね、ごめんね、じゃあ」
「うん」
そして私は多少歩いて振り向いた。そこにはきれいな虹の下にいる明青くんはニコッと顔を笑顔にさせた。そんな明青くんが私の目にうつった。すると明青くんは恋みくじを引いていた。
(え… あ、やっぱり好きな人はいるんだ…)
私達のクラスには美女とイケメンがいる。
そのイケメンが明青くん。そして美女が成木踊華(なるきようか)。
そしてその二人は幼馴染で、付き合ってる説も出ていて
私なんかが踏み出せるところではなかった。
踊華ちゃんは仲良くさせてもらっている。いつも明青に告白しようかなー って、言っている。それに、誰が告白をしても明青くんはOKを出さなかったそう。 付き合ってる説、立証寸前だった。
そして数日後
「ピコン!」
「え?」
明青くんからメールが来た。
「あのさ、今日、一緒に帰らない?」
私はすぐさま返信をした。
「いいよ!」
そして学校へ向かった。
「おはようございまーす」
私は教室へ行った。
すると踊華が泣いていて、クラスの中はザワついていた。
「踊華?!大丈夫?!何があったの?!」
「明青に、っ… ふられた、っ…」
(え… 昨日もあんな感じで好きそうだったのに…、 なんでだ… 他に好きな人がいるのか?)
「あのね…っ… 明青ねっ…今日の放課後っ…好きな子に告白するんだってっ… それでっ… きのうの運も良かったって…っ…」
「え?…」
私の頭はありえないほどに狂い始めた。
(わかんないわかんないわかんない、どういうこと… 創作物だったら… え?!私?!か、こういうポジの子が告白されるのか、 でも明青くんの感じからして私ではない気がする。)
そんなことを思いつつも多少の期待もあった。
「キーンコーンカーンコーン!」
帰りの鐘がなった。
「ごめん、まった?」
すごく急いだような感じで明青くんが来た。
「いやいや、いま来たばっかだから!」
「そっか、なら良かった。」
「帰ろうか…」
「うん」
「あのさ、ちょっとついてきて」
私は明青くんが言うようについていった。
そしてついたところはきのうの神社だった。
「昨日の神社じゃん」
「うん…でさ、あの、さ、実は恵のこと、好きで…」
「え?…」
「あ、そんな、いきなりで、ごめん。 でも好きだから。踊華との噂が来たときもずっと俺は恵が好きだった。で、さ、付き合ってくれない?」
「え…… うん……… ありがとう…… よろしく……」
「え… えぇ!! マジかよ!やったー!! やばいほんと嬉しい…」
「いや、私もすっごいうれしい… 昨日のやつで…… いや、もうわかんない。 とりあえず、すっごいうれしい…」
「よかった…」
「でも、今日踊華が振られてるの聞いて、その後私が告白されて、踊華になんていったらいいか…」
「単純に告白されたっていったら? 踊華のこと信用してるんでしょ?」
「そっか、わかった!そのまんま言ってみる!」
「もしそれで踊華と喧嘩になったらこっちに来て、したら、また考えよう。でも、踊華はそんな人じゃないから」
「うん!」
そして、あの神社は恋の予感を知らせる恋愛神社だということを知ったのは数日後のこと。
雨宿り 尊(みこと) @mikorintan
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