今がベスト

 残念ながら、祖母の認知症は現在進行形で進んでいる。祖父母も齢八十一となり、必ず別れはやってくる。祖母も今のように自活が出来なくなり、いずれ介護が必要となってくる日も必ず来ると思っている。

 でも重要なのは今ではないだろうか。

 人間が一番若いのは今この瞬間である。一分経ったらその分、年を取る。それが自然の摂理だ。あなたがもし老いていなくても、明日には何が起こるかわからないし、突然別れも言えずに終わる人生もあるかもしれない。それは認知症の方であろうが、健常者の方であろうが平等なのだ。

 勿論、どうにもうまくいかずむしゃくしゃする日もあるだろう。それに、今まで通りにいかないということで悩む日もあるかもしれない。でも、現実は現実なのである。

 ある程度、この先のことは決まっているかもしれない。だが今この瞬間を「楽しむこと」、そして限りある時間を「悔いなく過ごす」ことが孝行、そして自分自身の人生を生き切ることなのだと私は考えている。

 だからもし、同じように認知症の家族を持つ方が居らっしゃるならば、絶対的に全てというのは無理にしても、なるべく悔いの残らないように今出来る精一杯を持って、接していけたらいいのではないかと私は思う。少なくとも私は祖父母に対しても、母に対してもそう接したいと考えている。

 どのような状況においても「一番若い今」出来る精一杯のことをしていけたらそれはベストなのではないだろうか。


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さっき焼香したっけ?認知症になった祖母 秋名 理鶯 @Riou-Akina

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