サンタさんのティーパーティー

 サンタさんのおうちは雪山のふもとにありました。

 魔女のおばあさんの馬車が着くと、サンタさんがおうちから出てきました。


「やあやあ、いらっしゃい。よく来たね」

「寒いだろう、寒いだろう。中にお入りなさい」

「さあさ、お上がりなさい」


 あらあらびっくり、そっくりな顔のサンタクロースさんが三人いました。


「ご招待ありがとう、サンタさん」

「さっちゃん、魔女のおばあさんに白猫ちゃん。さあ、どうぞ」


 おうちに入ると、サンタさんと同じ赤いお洋服を着た小人が10人ほどいて、おぎょうぎよく席にすわっていました。


 さっちゃんたちがテーブル席に座ると、ポンポンっとポップコーンの音が鳴り出しました。

 ジュースのシュワシュワも聞こえます。


 ぽんぽんシュワシュワ

 ぽんぽんシュワンシュワン

 クラッカーパンッパンッ

 ドンドンピーヒャラタンタカタン


 楽しい音楽が聞こえ、さっちゃんの前のテーブルにはケーキやビスケットに紅茶やジュースがたくさん並びました。


「そうだ、そうだ。さっちゃん、わすれもの」

「ごめんよ、きょねんのプレゼントにいれわすれたんじゃよ」

「ていねいにみがいておいたからのう」


 三人のサンタクロースが、さっちゃんにメダルをひとつくれました。


「弟と妹がだいすきなおねえちゃん部門、一等賞のメダルじゃよ」


 さっちゃんはメダルをくびからかけました。

 きんいろがぴかぴかしています。

 あらあら、どうしたことでしょう。

 さっちゃんはなんだかきゅうにおうちに帰りたくなりました。


「サンタさんたち、ありがとう。魔女のおばあさん、白猫ちゃん、つれてきてくれてありがとう。でも私、おうちに帰ります」

「なんだい、なんだい。来たばかりじゃないか」


 魔女のおばあさんは残念そうな顔。


「フォッフォッフォッ。またおいで」

「さっちゃん、またね」


 サンタさんたちは、またおいでと笑いました。

 白猫ちゃんもまたねと笑います。


 さっちゃんはティーパーティーのお菓子をおみやげにもらいました。

 花かざりのついたカゴには山ほどお菓子が入りました。


「さようなら、またね」

「さっちゃん、またいらっしゃいな」

「ティーパーティーはまた来年」


 サンタさんや小人さんたち、魔女のおばあさんに白猫ちゃんがバイバイと手を振ります。


 さっちゃんを乗せた馬車は、トナカイさんが運転します。


 びゅんびゅん走るよ

 馬車は空をかけ走る

 来たばかりの道

 さっちゃんのおうちまで

 ひとっ飛び


 さっちゃんが目をさますと、弟と妹がさっちゃんのそばでスヤスヤ寝ていました。


「さっちゃん、いつもありがとう。ママ、あんまりかまってあげられなくてごめんね。さっちゃん、ティーパーティーしましょうか」


 弟と妹はおねつがさがりました。

 すやすやグーグー寝ています。

 さっちゃんはママを今だけひとりじめ。


 ママは魔女のおばあさんからの、お手紙を読みました。


「ティーパーティーのつづきはママとどうぞ」


 サンタじるしの紅茶はふしぎなお味。口の中でパチパチ甘さがはじけます。


 さっちゃんはママにサンタさんたちからもらったメダルを見せました。


「ママ。こんどは家族みんなで、サンタさんのティーパーティーに行こうね」


 もちろん魔女のおばあさんと白猫ちゃんもいっしょだよ。


 さっちゃんは初めてもらったメダルも嬉しかったけれど、魔女のおばあさんやサンタさんたちにまた会える日が楽しみでした。



        おしまい♪


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魔女から手紙がやって来た! (絵本風物語) 天雪桃那花(あまゆきもなか) @MOMOMOCHIHARE

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