空飛ぶ馬車に乗って
さっちゃんが魔女のおばあさんからのお手紙を受け取ってから、きっかり三分たちました。
ぽわんぽわんパチパチパチ。
もわんもわんパチパチパチン。
ピンクの煙が部屋中にぽわぽわもくもく。
七色のパチパチ火花も飛びまわります。
「こんにちは、さっちゃん。はじめまして」
「はじめまして。こ、こんにちは。魔女のおばあさん」
ジャーンと登場した魔女のおばあさんは、青い空みたいにきれいでフリフリなドレスと先の折れた三角帽子に身をつつんでいました。
魔法でワンピースから鼓笛隊の服に着替えた白い猫さんが、プップップ〜とラッパを吹きます。
さっちゃんの目の前で、魔女のおばあさんは踊りだしました。
先端に雪の結晶をあしらった魔法の杖をふりまわし、歌を歌いダンスのステップを軽やかに決めています。
さっちゃんの想像よりも、実際に会った魔女のおばあさんはずっとおしゃれで陽気です。
思わずさっちゃんもリズムを取って、手拍子をしました。
「さっそく出かけようかね」
「どこへ、お出かけですか?」
「お手紙のとおりですよ。サンタさんのティーパーティーに行きましょう」
魔女のおばあさんが魔法の杖をひとふりすると、星がきらきら虹も現れ、うずを巻いてくるくるくる〜。
そこから真っ白で丸くて豪華な馬車と4頭の立派な白馬が出てきました。
御者の席には白い燕尾服を着たトナカイさんが乗っています。
「さあさ、乗って乗って」
先に馬車に乗りこんだ白い猫さんがさっちゃんの手をつかみ、ひょいっと乗せてくれました。
そっと腰を下ろすと座席はふかふか。
魔女のおばあさんはさっちゃんの前に向かい合わせに座ります。
「トナカイさん、出発しとくれ。安全運転で頼んだよ」
「はいはい、もちろん。心得ました」
さっちゃんは次から次に起こる不思議な魔法に、わくわくが止まりません。おしゃべりも忘れていました。
浮き上がった馬車は星がまたたく夜空を飛んでいきました。
魔女のおばあさんの魔法で、一瞬で可愛い淡い虹色のドレスに着替えたさっちゃんを乗せて。
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