第19話 聖女様は素直に喜べない

「おいおい見ろよ、あそこにいるの……最近よく噂になってる聖女様のパーティじゃねぇか?」


「アレか……パーティ組んでからそんなに経ってないっていうのに、数々の功績をあげてるっていう……」


「聖女様は相変わらず、美しいな……。容姿端麗、才色兼備、品行方正の三拍子に加え、優れた魔力の持ち主……あーあ、何とかして、お近づきになりたいもんだぜ」


「バカお前、俺たちのような荒くれ者が相手にされるわけねぇだろ?」


「それもそうだな、ガハハハハ!」


「それに……聖女様のパーティの一人、ユウタ……。あいつもなかなかの実力らしいぜ。的確な指示と判断力。それに、自身も様々な呪文が使えるらしい」


「ほぉ……あんなガキがねぇ……」



※※※


パーティを結成して半年が経った。最初は、Gランクだった私達も、これまでの功績から3階級上げたCランクとなっていた。Cランクともなれば、冒険者の中でも上位10%にあたる。結成して間もないパーティがここまで昇級することは中々珍しいことであり、今一番注目されているルーキー達とも呼ばれていた。

中でも、ユウタ様の実力を評価する者も多く、私にとっても大変喜ばしいことである。だが、それと同時に私の心境は複雑だった。


「おいおいユウタ、最近お前の噂で酒場は持ちきりだぜ?」


「よしてくれよ、ガレアス。僕のおかげじゃない、みんなのおかげだよ」


「かー! これで謙虚とくるもんだ、なぁクレア」


「……えぇ、そうですね」


(クレア様は、相変わらず冷静だ……冒険者ランクが上がってもあまり嬉しくないのかな……。いや、違う。クレア様のことだ、この状況に甘えることなくさらなる高みを目指しているんだな流石だ……)


「今日の依頼の報酬受け取ってきたっスよー!!」


ユニ様が、報酬が入った小袋をぶんぶん揺らしながら、駆け寄ってくる。


「ユニ、ありがとう」


「ということは、今日は、これで解散ですか……?」


「はいそのつもりですけど……何かありましたか?」


「い、いえ……ではまた会いましょう」


♢ ♢ ♢


バタン


自宅へ帰ると、勢いよく、大きなジョッキ並々に飲み物を注ぐ。


グビグビグビ……


一息でそれを喉に流し込み……ジョッキをテーブルに思いっきり、叩きつける。


ガコンッ!!


「半年経ったのに、ユウタ様との進展がなああああああああああああいいいいいいいい!!!なんでよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



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うちのパーティの聖女様がやたらと僕のことを避けている気がするんだが せかけ @sekake

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