我慢の城籠もり
シヨゥ
第1話
「そんなに我慢し続けて、助けは来るのかい?」
そんな質問を友人にされた。
「いや来ない。来るのは『大変だね』と共感するふりをする奴らばかりだ」
「その人達に助けてもらったらどうだい?」
「いや彼らは『大変だね』と共感するふりををしながら、内心は『とばっちりを受けなくて良かった』と安心している。助けを求めようものなら蜘蛛の子を散らすように居なくなるだろう」
「孤立無援だね」
「そうだ。だけどこれが僕に与えられた戦いだ。投げ出すわけにはいかない」
「捨て石にされたというのに?」
「捨て石?」
「そう。君がやっていることは籠城戦だ。しかも援軍は絶対に来ない。ジリ貧の消耗戦。これが捨て石と言わずになんと言い表わせばいいんだい?」
友人の問いに返す言葉もない。
「そこまで忠義を尽くすべきものなのかな? こんな戦いを強いる相手にさ。もしかしたら味方だと思っていた相手は敵なのかもしれないよ」
「そんなことは……そんなことは、ない」
どうにか反論しようとするもそんなことしか言えない。
「まだ時間は残されている。ゆっくり考えてみよう」
その誘いに気持ちが揺れる。今まで考えなかったことが頭によぎる。もう心を強く持って戦い続けることは出来そうになかった。
我慢の城籠もり シヨゥ @Shiyoxu
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