第5話 変化した日常

 学園長との話を終えたあと、僕はいつも通っていた訓練場によることもなく、そのまま寮へと帰った。

 自室にはいり、そのままベッドに寝転がって今日のこと。そして今後のことを考えた。だが、いくら考えても目標が浮かばない。正直今にも泣きだしたいぐらいだ。

 リナにもどう説明すればいいのか。おそらく僕は顔を合わせることもできないだろう。だが、こればかしはどうにもできないのが事実。

 グラム「今難しく考えても仕方ない。学園長もいってたし、ゆっくり考えよう。」


 今日はいろいろあったせいか、いつもより疲れた。

 その日はシャワーを浴び食事もとらずにそのまま寝た。


 だがこの時の彼は想像もしなかった。学園での生活が苦しくなること。

 そして最後の希望である恋人とも、今までの関係ではいられなくなることに...


 ―――――――――――――――――

 目が覚めた。

 いつもより少し早い時間ではあるが、いつものように軽い運動をしてから軽くシャワーを浴びたあと、朝食をとってから学園へ向かった。

 昨日決まった特別教室について聞くために職員室へ向かおうとするがその時目の前に誰かが立ち止まった。誰なのか確認しようと顔を見るとそこにいたのは

『ルグス・ブリッツ』。貴族であるブリッツ子爵家の長男であり、次期子爵家当主である。

 彼は以前からリナに惹かれており、リナの隣にいた俺を気に入らないらしく、度々訓練と称して取り巻き連中とともに暴行をくわえてきていた。正直あまり会いたくない相手である。


 グラム「すまない。今から職員室へ行かないといけないんだ。道をあけてくれないかな?」

 そういうと彼は

 ルグス「無能が偉そうに指図すんじゃねえよ!」


 そう叫びながら殴りかかってきた。

 何とか避けようとしたが、取り巻き連中に押さえつけられてしまい、顔にそのまま受けてしまった。


 ルグス「無能が貴族様に逆らうからこうなるんだよ。頭によく刻んどくんだな無能」


 そういうとルグスは取り巻き連中を集めて教室へと歩いて行った。

 正直、遅かれ早かれこうなるとは思ってはいた。おそらくこれがこれから日常になるだろうということも。

 僕は殴られた箇所を軽くハンカチで血をぬぐい、職員室へ向かった。


 職員室へ行くとちょうど出勤してきたのであろう。昨日、学園長室へ案内しくれた先生を見かけたのであいさつをし、昨日決まったことについて聞いた。

 どうやら僕はこれからは学園長室の二つ隣の空き教室にて授業をおこなうらしい。学園長室に近いのはイレギュラーな存在である僕を学園長がたまに様子を見に来るらしく、なるべく近いところにいたほうが見に行きやすくて楽だかららしい。

 どうやら学園長は結構適当なところがあるらしい。

 空き教室につくと机が一人分用意されており、自分は指示された通り、そこに座った。

 その日は特に授業があるわけではなく、今後のカリキュラムについての簡単な説明を受けた後、軽くいつも通りに授業を受けただけだった。


 昼休みになり僕は食堂へ向かった。

 今日はなにを食べようかと考えていると少し離れたところにリナの姿を見つけた。

 話しかけようとして一瞬ためらったが、大事な話もあるので僕はリナに声をかけた。

 僕の呼びかけに反応してリナが振り返ったので話を使用としたとき、突如リナが僕の頬を叩いた。いきなりのことで驚いたのか周囲の注目があつまる。

 僕自身もいきなりのことで状況がつかめない。だがリナの顔を見るとそれは怒りに満ちた顔をしており、その眼にはかすかに涙を浮かべていた。

 どうしたのかと問うとリナはただ「裏切者」と答えた。


 グラム「帝国騎士のことか?だったらちょうどいい。ぼくはそのことについて話を...」

 僕が言い終わる前にリナは「違う!」と答えた。

 僕がどういうことだ?と思っているとリナは


 リナ「そんなことじゃない!私はそんなことなんかで怒っているんじゃない!

 前から怪しいとは思っていた。半年前ぐらいからグラムはあまり話かけてくれなくなった。最初は何かいそがしいのかとか生活費のことで困っててギルドに通っているのかとか考えていたの。でも昨日の夕方友達と町で歩いてたらグラムを見かけたの。あまり話せてなかったから少しでも話したくて話しかけようとしたわ。でもあなたは知らない女性と歩いてた!私にも見せたことないような笑顔でよ?」


 は?リナはなにを言ってるんだ?俺は確か昨日は学園長と話した後そのまま寮に戻ってしばらくして寝た。寮に帰ってからは一度も部屋からは出ていない。

 そんことを言おうとしたが

 リナ「ごまかさないで!見たのは私だけじゃない!友達も見ていたわ。」


 なんとか話そうとしたが僕が口を開くよりも前にリナから言われてしまった。


 リナ「もう私とは別れて。そして二度と顔見せないで。あなたの顔なんて二度とみたくない。消えて。」


 その時僕の中で何かが折れるのを感じた...

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周囲からは見下され、恋人に捨てられましたが神様にもらった【全能眼】で成り上がります! KBTMSI @KBTMSI

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