ぼくのきもち

@hikikomorirurero

ぼくのきもち

 運動会が近づき、クラス中が運動会のはなしでにぎわっている。

 今日は、運動会で三年生が行うダンスのペアを決める日だ。朝の会で先生が、「今日の休みじかんをつかって、ダンスのペアをみなさんで話し合って決めておいてください。ペアは三人一組です。では、よろしくお願いします。」と言っていた。


 二時間目のじゅぎょうが終わると、話し合いがかりの太郎くんがこくばんの前に立ち、言った。

「みんな、今からダンスのペアを決めようぜ。」

ぼくは、運動がとくいではなかったが、運動会で行うダンスのペアについて、仲のよいともだちとすでに話していたので、本番を楽しみに思いながら話し合いにさんかした。

  話し合いがすすむ中で、べんきょうがとくいなとおるくんが言った。

「これ、おかしくないか。だって、ぼくたちはぜんいんで二十八人だ。だから、三人一組でペアをつくると、だれか1人があまることになるよ。」

「ほんとうだ。じゃあ、一グループだけ四人一組になりそうだな。みんな、それでだいじょうぶか?」

 太郎くんが言った。クラスのみんなはなやんでいるようだった。

(どうしてみんななやんでいるんだろう。)


 クラスのみんながペアをつくり終えていたころ、まだ、ぼくはペアをつくることができていなかった。

 事前に話し合っていた友達たちが、ぼくをのぞいてペアをつくっていたのだ。

「おなじペアになろうって、前に話したじゃないか。」とぼくは言った。

「ごめん。でも、もう決めてしまったんだ。」と友達のひろきがもうしわけなさそうに言う。

 けっきょく、ぼくだけが一人あまってしまった。


 休み時間がおわりそうになり、先生が教室に帰ってきた。

「みなさん、ダンスのペアはきちんと決めることができましたか? このクラスは二十八人なので、一組だけが四人になったと思います。」

「ごめんなさい。まだ決めることができていません。」太郎くんが先生に謝った。

「わかりました。では、明日また話し合ってもらいます。」

 その日の話し合いはそこで終わった。三時間目がはじまったが、ぼくはずっともやもやしていた。

(どうしてみんな、なやんでいたんだろう。)

 その日の夜も、もやもやしてあまり寝ることができなかった。

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