71_エピローグ
父さんとのビデオ通話をした日、照葉(てるは)は、『ちょっと家に帰ってくる』と言って、そのまま戻ってこなかった。
まあ、変なことになるくらいなら、その方がよかったかも。
問題は・・・さくらだ。
さっきからくっついて離れやしない。
腕に頬ずりしたり、キスをせがんだり・・・
これだけ可愛い子にそんな事されたら、嬉しくない訳がない。
ただ、片時も離れない。
料理をしている時は、キッチンの入り口のところにいてほしいと頼まれた。
真剣に料理を作る横顔を見ていると、改めて美少女だと痛感させられる。
美人は何をしても絵になる。
普段、食事は向かい合わせに座るのだが、今日は横に座ってきた。
そして、夕飯はハンバーグ。
夕食のメニューの法則を俺は理解した。
『ここ一番の時』はハンバーグなのだ。
『勝負料理』と言うものが存在するのならば、さくらの俺に対する勝負料理はハンバーグみたいだ。
確かにハンバーグは好きだけど、一番かと言われると疑問だ。
ただ、さくらとの思い出の料理となっているので、やっぱり『勝負料理』なのかもしれない。
また一段と美味しくなってるし・・・
風呂はかろうじて一人で入ったが、寝る時は同じベッドだ。
いつもは、俺が日和るか、さくらが逃げるかで、『致した』ことはないのだが、イチャイチャまではしていたことがある。
それも今日の父さんとのビデオ通話で分かった。
さくらは俺がずっと彼女を拒否してしていたと思っていたのだろう。
日々、嬉しそうに接していても、いざとなったら放置・・・みたいな。
そんな不安を抱えていたから、いざとなると逃げてしまっていたのだろう。
そう言うことだよね?
全力で愛情表現をぶつけてくるさくらに対して、俺が動くと防御力0のさくらはトイレに逃げ込んで、しばらく出てこなかった。
単に落ち着こうとしていただけだよね!?
そうだよね!?
まあ、今日はちょっと違う。
いや、全然違う。
既にベッドにさくらが入っている。
そして、満面の笑顔で両手を広げてビッグウェルカムで待っている・・・
俺も拒否する理由なんてみじんもない。
こんな豪華フルコース的な据え膳を食わない理由などないのだ。
さくらと軽いキスをしたら、その次は深いキスをする。
俺にとって初めての事なので、見様見真似だが・・・
さくらも初めてだったみたいで、最初うまくいかなかったが、二人で研究しながら『致した』。
何をもって『1回』と数えるのかは分からないが、さくらと朝までに『6回』した。
何度か寝ようと話はしたのだが、2人とも裸でベッドの中にいるので、寝る前にお互いいたずらをしてしまい、結局『6回』に・・・
相手がさくらなので、変に緊張せずにいつもの俺でいられたのが良かったと思っている。
さくらも、可愛さとエロさはいつも以上だったが、俺のことを見てくれているのがすごく伝わった。
新聞配達のバイクが家の前を通った音までは覚えているので、夜明けギリギリまで起きていたのだろう・・・
目が覚めたのは、日曜日の朝11時過ぎていた。
珍しくベッドの横にさくらがいた。
普段なら、先に起きて色々な準備をしてくれている。
・・・随分、いたずらもされたが。
今日は、一緒に寝ていてくれた。
それがまた嬉しかった。
さくらは起きていたのか、至近距離で目が合った。
お互い照れ笑い・・・
さくらは布団で口元を隠していた。
その仕草は、ひときわ可愛さを引き立たせていたし、『ああ、俺はこの子が今冬に好きなんだなぁ』と思わせた。
おはようのキスをしたところで、お互い裸だということに気が付いた。
さくらが、薄い掛布団を身体に巻いて、ドレスのようにして立ち上がった。
「朝ごはん、準備しますね」
「あ、さくら」
「はい?」
さくらが笑顔で振り返る。
朝の(と言っても、もう昼前だが・・・)光が髪の毛を透き通らせて、さくら自体が輝いて見えた。
「やっぱ、もう一回キスしてからでいい?」
「はい」
さくらは、シーツのドレスの背中部分を押さえたまま、キスに応えてくれた。
■
(ピンポーン)
チャイムが鳴ったのは、食事を食べた後くらいだ。
日曜日に人が来ることはないので、珍しいと思ってインターホンで出た。
小さな画面に映っているのは、俺の幼馴染。
『セリカくん、手伝って!』
何事かと思って、玄関を開けると、『家出娘』のような荷物で照葉(てるは)が立っていた。
「何この荷物!?」
「言ったでしょ!私も、一緒にここに住む!」
「え!?あれ本気だったの!?」
「もちろん!家に帰ったら、お父さんとお母さんに全力で止められたから、今になっちゃった・・・」
おじさんとおばさんの慌てっぷりが容易に想像つく・・・
あとで電話しておこうかな。
とりあえず、玄関では何だからと荷物を玄関まで入れた。
そこに、さくらがやってきた。
「あ、小鳥遊(たかなし)さん、いらっしゃいませ」
さくらが『表モード』前回の笑顔で挨拶をした。
「あ、堀園(ほりぞの)さん、今日からは『ただいま』なの」
次の瞬間、両方から腕を組まれた。
「小鳥遊(たかなし)さんには、お客様用(・・・・)のお茶をお出ししますね」
「いいえ、お気遣いなく」
ちょっと待て!
この流れは、本当にラブコメがスタートするのか!?
スタートしちゃうのか!?
とりあえず、さくらを家にあげた。
さくらは、ちゃっかり『お客様用』のちょっといいお茶を出し、お茶を飲んだ後は、照葉(てるは)が全員分の湯呑を洗った。
日曜日の朝の『恋人気分ぽわぽわむーど』だったのに、一転、修羅場in my houseとなってしまった。
どうなるんだ俺!?
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一旦終了。
更新頻度を落としてちまちま更新していきたいと思います。
甘々でちょい変態の■許嫁■が俺を≪ダメ人間≫にする 猫カレーฅ^•ω•^ฅ @nekocurry
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