第1話 運命 ※微グロ注意

女中「エイリス様。今年の贄でございます。」

1人の女中が言った。何も知らない、無垢な鮮血を思わせる瞳をもった赤子を差し出し、引き下がる。




贄に名前はない。名前など、付けるほどでもないのだ。

この一族は、自分が殺されたくないが為に、子を成すのだ。


エ「ふむ、宜しい」

エイリスは言う。

エ「今年は例年にも増して美味そうな贄だ。」

そして、舌なめずりをする。



あれから数百年たち、贄は200歳になった。


エイリスは、

エ「そろそろいい頃か」

と零すと、

エ「おい、贄よ」

と、発した。


言葉を躾られていない贄は振り向く。

不思議そうに見つめている。


エ「贄の瞳は実に美味そうだ。」


瞳すら理解していない贄は頸を傾げる。

すると、とてとてとエイリスへ近づく。


エ「我は腹を空かせている。その瞳を寄越せ。」

そう言うと贄を突き飛ばし、瞳に手を伸ばす。

本能的に危機を感じとった贄は、暴れ出す。

しかし、エイリスの前ではあまりにも無力だった。

エイリスは瞳を取ると丸呑みした。

贄のぽっかり空いた穴に花緑青色の義眼を嵌め、奥の間へと去っていった。



贄は、過呼吸になりながら目の前で起こった出来事を整理する。


あまりにも急すぎた、惨い出来事だった。

それと同時に





逃げ出そうと考えた。

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Karin's past @juiy

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