木内さんちの人々

@inichikala

第1話 朝起きてすること

 朝起きて、私が最初にするのは洗濯。本家と呼ばれる家の嫁なのに朝起きるのは遅い。舅が起きてから軽く3時間はたっている。朝寝坊をどう思っているかは知らないが、義祖母から「でべすけ」と呼ばれたことがある。朝寝坊は良いが「でべすけ」はだめらしい。「でべそな嫁」が頭をよぎったが、ちがう、出ていったら鉄砲玉の人のことだと後から知った。なるほど実家の父にも「鉄砲玉」と呼ばれていた。

 さて、洗濯の話に戻そう。この家に住み始めたころは義祖母、舅姑、私たちの順に洗濯機を使っていた。いつのころからか洗濯は私がまとめてするようになった。今一緒に住んでいるのは6人。衣類だけで結構な量がある。黒い物、白い物、その他の色・柄物と3回に分ける。

 朝8時、衣類を種類分けするところから私の一日は始まる。ある日、末の息子である颯太がインナーとTシャツを一緒に脱ぎ、脱いだそのままの重なった状態で洗濯籠に入れてあった。ぶつぶつ言いながらはがしていたら、姑が「颯太君、いつもそうやよね。なんで別々に脱がへんのやろか?」と言ってきた。

 「お義母さん、毎日あなたのズボンからパンツをはがしているのは私ですよ」 

とどれだけ声に出したかったか。そして翌日も私は姑のズボンから彼女のパンツをはがすのである。

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