第8話 文化祭準備 2






 文化祭でパンケーキ屋をやると決まった翌日、俺たちは文化祭の準備を始める。

 パンケーキ屋は、特にそれといった準備はない。あるといったら、美味しいパンケーキを作るレシピを考えたり、その出来上がったパンケーキを運ぶ人の制服を作ることや、教室の飾り付けぐらいだ。まあ、レシピはネットにいくらでもあるだろう。制服もシャツの上に着る上着を作ればいい。飾り付けも全員でやればすぐ終わる。そんなに大変な作業ではない。文化祭当日は調理する人とウェイターで別れてやるそうで、俺は料理ができないのでウェイターになった。陽介もウェイターである。


『ウェイター、頑張ろうな!』


 陽介がめちゃくちゃ張り切っている。まだまだ文化祭はさきだぞ。



 そういえば、清水さんは何をするのだろうか?


「えっ?清水さん、清水さんもウェイターやるの?」



『ええ、料理は苦手なの』



あんなに甘いものが好きなら自分でパンケーキも作ったことぐらいあると思ったが、料理はできないのか。料理はできないが、甘いものはすきなのか。



「清水さんも、頑張ろうね」



『ええ、頑張りましょう!』

 

 清水さん、やけに気合い入ってるし、機嫌良さそうだな。




「はーい、それじゃあ、ウェイターと調理班に分かれて作業してもらいまーす。ウェイターをやる人は被服室へいって、自分で上着を作ってもらいまーす。そんなに難しくないと思いますけど、もし難しいと感じた人は上手な人に教えてもらって作ってくださーい。えーっと、調理班はいまから、調理室へ行って、実際に作ってみましょう。それじゃあ、各自始めて下さーい」



 委員長の声と共にクラスメイトが動き出す。



 よし、上着を作りにいくか。あっ、俺、裁縫の能力ねえわ。ここは親友の陽介に教えてもらうか。そういえば陽介も裁縫ダメだったわ。こりゃ積んだな。どうしようか。不安になりながらも俺は被服室へと向かう。




 被服室に着くと、委員長が何やら指示を出してくれていた。さすが委員長!おれたちにできない事を平然とやってのける。そこにシビれる!あこがれるゥ!

 と、とある漫画のようなセリフを言いたくなるほどの気持ちになっていた。やっぱり委員長すごいわ。


 そんなことより早く上着を作んなきゃな。誰か作れる人いねえかな?委員長は忙しそうだしなぁ。誰かいねぇかな?そんなことを思いながら辺りを見回すとある人物が目に入った。そう「清水さん」だ。清水さんにつくりかた教えてもらうか。裁縫できるか知らないけど。




「ねぇ、清水さん。裁縫って得意?もし得意なら、やり方教えてくれないかな?」




『ええ、プロのレベルというまでではないけれど、それなりにできるわよ。ミシンも手縫いも両方。あなたにはメロンパンの借りもあるし、教えてあげてもいいわよ』




 おお、ありがたい。まさか、料理はできないのに裁縫はできるんだな。まぁ、決めつけは良くないが。これもあのメロンパンのおかげだな。過去の俺、よくやった!



「ほんとに!清水さんは裁縫得意なんだ。すごいね尊敬するよ(委員長の次に)。じゃあ、早速だけど教えてもらってもいいかな?」



『っっっ!!そんなにすごいことでもないわよ。普通よ!普通!さぁ、教えてあげるからこっちに来なさい』



 なんで清水さん顔が赤くなってるんだ?まぁ、今日はいつもより暑いからな。それのせいだろ。



「ああ、助かるよ。」



 その後、俺は清水さんにやり方を教えてもらいなんとか仕上げることができた。


「ありがとう、清水さん」



『ええ、どういたしまして』


 

 その頃、陽介は委員長に助けを求め、やり方を教えてもらっていたらしい。


 さすが、委員長。

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彼女、道に落ちてないかなぁ? いいえ、落ちてません。 妹ようかん @imoyoukanm

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