第7話 文化祭準備 1

 昨日食べたクレープ美味しかったなぁ。また陽介誘って行くか。

 そんなことを自分の席、いわゆると呼ばれる窓際最後列の席である。入学式当日に席替えをし、この席をクジで引き当てた。この席は、後ろにいくら椅子を下げても怒られない。さらに横にロッカーがあり自由に使える。最高だ。もう動きたくない。

 そんな最高な席に座って、考えているといつもよりめんどくさそうな顔をした担任が教室に入ってきた。

 なんだ?



「はーい、話を聞けー。今月6月 には文化祭がある。そのため、文化祭で何をするか決めなければならない。今日までにだ。何をしたいか各自、今日の6時間目までに考えとけよー。今日の6時間目に話し合いするから、しっかり考えとけー。あと、メイド喫茶とかはダメだからなー。話は以上だ。日直、号令ー」



「起立、礼」

 日直の号令で、SHRを終える。

 

 そうか、もう少しで文化祭があるのか。中学の頃は文化祭なんてなかったな。よく、アニメや漫画などの高校では喫茶店や屋台などを開いたりしてるのに中学の時憧れたものだ。

 

 さて、どうしようか。やるといったら、展示ぐらいしか思いつかないぞ。どうしようか。まぁ誰かが、なんかしら意見を言って皆がそれに賛同して、それをやるのだろう。



『なぁ、優希、何にしたか決めたか?』



「いや、なーんも思いついてない。そういう陽介は思いついたのか?」



『よくぞ聞いてくれた。俺はな、メイド喫茶がいいと思うんだ。なぁ、いいと思うだろ。』


 

 コイツ、先生の話聞いてないな。

 そんなことを話しながら、掃除場所へと歩いて行く。






 時は過ぎ、6時間目を告げるチャイムが鳴る。文化祭の案は結局なんも考えてない。誰かが、発言するだろ。



「よーし、文化祭で何するか決めるぞー。あとはクラス委員に任せる。頼んだぞー」


 仕事を放棄しやがった。そして、クラス委員は席を立ち上がり、教壇へと向かって行く。


「はーい、聞いてださーい。委員長の有馬亜衣です。これから、文化祭で何をやるのか決めまーす。何か意見のある人は手をあげてくださーい」



『はいっ!』


「はい、立花くん」



『メイド喫茶がいいとおも「はーい、先生の話をちゃんと聞いて答えてくださーい。ほかに意見のある人いませんかー?」


 

 陽介、お前が悪い。自業自得だ。陽介そんなに落ち込むな。どんだけ喫茶店やりたかったんだよ。きっと誰かが意見をいってくれるさ。


 その期待とは裏腹に陽介の意見以降誰も発言しない。このクラスの全員考えてなかったな。ふと、清水を見てみると、机にうつ伏せ眠っている。寝るな。俺みたいに発言しなくても、話し合いには参加している感だしとけよ。




「誰かー、意見ありませんかー?誰もいないなら私が決めますよー。いいんですねー」

 

 さすが委員長、お前だけは考えてたんだな。尊敬する、一生お前について行くぞ。


「じゃあ、パンケーキ屋でもしますか。パンケーキはどうやっても不味く作れませんし、簡単ですし。それに、生クリームとか果物をのせとけば、美味しそうに見えるんで。みなさーん、パンケーキ屋でいいですかー?いいなら、手をあげてくれますかー?」



「「「「バッ!!」」」」


 

 クラス全員がすぐさま手をあげる。もちろん俺も挙げたぞ。パンケーキ食べたいしな。それに、粉もんは原価があまり高くないし、売り上げも悪くないだろう。よく知らないが、パンケーキはインスタ映えとかいうのなんだろ。よく知らないが。



「はーい、じゃあ1年3組はパンケーキ屋をしたいと思いまーす」



 そんなこんなで、文化祭で、我が1年3組はパンケーキ屋をやることが決まった。




(『パンケーキッ!』)


 清水、喜び過ぎだろ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る