第6話 クレープ

 今日も今日とて、何ら変わらない退屈な授業を受け、陽介と昼食を食べ、また退屈な授業を受ける。

 それにつれて、だんだんと放課後が近づいてくる。



『よーし、SHR終わるぞー。日直号令』



 担任の掛け声とともに放課後が訪れる。



 よし、帰るか。準備しねえと。



『優希〜帰るぞ〜』



 準備するの早いなコイツ。



「ちょっと待ってろ。今準備するから」



『早くしろよ〜。クレープ食いに行くぞ』



 あぁ、そうだった宿題を写させてやったお礼にクレープおごってくれるんだったな。



「じゃあ行くか。クレープってどこで買うんだ?」



『あぁ、駅にクレープ屋があるんだよ。今日はクレープがいつもの値段の半額の日なんだ。何にしようかな〜』



 そうか、だからジュースを奢るんじゃなくて、珍しくクレープを奢るのか。コイツめ。


 そんな会話をしながら校門を出て、駅へと向かって歩いてゆく。






 10分ぐらい喋りながら歩いていると駅に着く。



『着いたな。じゃあクレープ食いに行くぞ〜』


「あぁ」


 クレープなんて久しぶりに食べるな。何をのせてもらおうかなぁ。


 そんなことを考えているとクレープ生地や生クリームの甘い匂いが、鼻の中に入ってくる。



「すごい匂いだな」



『そうか?こんなもんだろ』



 陽介は駅から学校に通っているので毎日この匂いを嗅いでる。毎日おんなじ匂いを嗅げば鼻もなれるのだろう。



『優希、決まったか?どれにするか』



「あぁ、えっと・・・先に注文しといてくれ。もう少し考える」



『そうか、じゃあ・・・チョコバナナで、生クリーム多めで』



 いいなぁ。チョコバナナか。甘いものって美味しいよな。てか、甘いもので不味いもんはないよな。俺もそれにしようかな。けどあんまりクレープなんか食べないし、ハズレをわざわざ注文したくないよな。どうせなら、一番人気のイチゴと生クリームのにするか。



『「すいませーん、イチゴと生クリームのクレープ下さい」』




「えっ?なんで清水さんいるの?」


『そっちこそ、なんでいるの?』




 クレープを注文しようとしたら、となりのレジで清水さんが同じようにクレープを注文していた。

 ひとまず、挨拶ぐらいはしておくか。



「こんばんは、清水さん。清水さんもクレープ食べに来たの?」



『ええ、今日はクレープが半額の日だから来たのよ』




 清水さん甘いもの好きすぎるだろ。メロンパンといい、クレープといい甘いもの大好きだな。ホントに甘いものさえ与えておけば、なんでもいうこと聞きそうだぞ。




「ご注文のお品出来上がりました」


 という、店員の声で俺は現実に戻される。



『「ありがとうございます」』


 また、被った。もういい、気にしないようにしよう。



『優希、できたか?あれ?そこにいるの清水さんじゃん。どうしたの?清水さんもクレープ食べに来たの?』



「ええ、今日は半額の日だから、買いに来たのよ」



『へぇー、一人で?』


「一人で」


『・・・・・』


「・・・・・」



 陽介っ!そんなことを聞くなよ!そんで聞いた後何か喋れよ。清水さんがかわいそうだろ。

 ぼっちは全然わるいことではないとおもうぞ。一人でいたいからぼっちなんだよな。誰かに嫌われてるから、ぼっちっていうわけじゃないんだもんな。だから、一人でクレープを買いに来たんだもんな。ひとまずこの雰囲気を脱せねば。



「じゃあ、クレープも買ったことだし、俺たちは帰るか。じゃあまたね、清水さん。陽介、帰るぞ」



「おう、そうだな。優希、帰るか。じゃあ、清水さん」



『ええ、また』



 俺たちは清水さんに別れを告げ、足早にそこを去っていった。



『なぁ、優希、どっかで座ってクレープ食べないか』



 確かに食べずにクレープを家に持って帰るのは味も落ちると思うしクレープが冷めてしまう。どこか座れる場所で食べた方が良いだろう。



「そうだな、あそこの椅子で食べるか」



 俺たちはそこに座りクレープを食べた。

 クレープうめえぇぇ。

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