第5話 あいつの名前
ええー、ここでニュースです。本日、8時40分頃、昨夜、自宅付近の公園で会った女子Bが、同じクラス、同じ掃除場所であることが判明致しました。
『あれっ、男子Bじゃない』
えっ、なんで女子Bがいるの?
昨日会った時、同じ学校の制服を着ていたから同じ高校なのはわかっていたけど、同じ学年で同じクラスってどんな確率だよ。てか、女子Bさん、同じクラスにいたっけ。やばい、全然思い出せないわ。思い出せるの男子しかいないわ。
「やぁ、女子Bさん。昨日ぶりだね」
『そうね、昨日ぶりね』
「・・・・・」
『・・・・・』
会話続かねぇーー
まぁ、掃除時間は会話をせず真面目に隅々まで掃除をするものだ。話さなくても何らおかしくない。よしっ、掃除をしよう。
「じゃあ、掃除をしようか女子Bさん」
『ええ、そうね、掃除をしましょう』
そのまま俺たちは掃除をもくもくとこなしていった。
『キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン』
チャイムがなったので、掃除が終わりらしい
掃除をまじめにやってしまった。いつぶりだろうか、こんなに掃除をまじめにやったのは?小学生低学年以来か?あの頃はまだサボるっていうことを知らなかったな。あぁ〜あの頃の純粋で、まだ社会の大変さを知らなかった少年に戻りたい。
『ねえ』
あぁ〜あの頃の宿題とテストが恋しいな〜
『ねぇってば!』
うん?何だ?俺の現実逃避を妨げる奴は誰だ。
「あっ、女子Bさん」
『だから「女子B」っていうの何? 私にはちゃんとした名前があるの。「
へぇー清水葵っていうのか。へぇー。
「ってか、俺の名前知ってんのかよ。知ってんなら何で昨日、名前で呼ばなかったんだよ!」
『それは、あなたが私のことを「女子B」とか言って知らないようだったからよ。私はあなたと昨夜会った時、あなたが同じクラスメイトであることがすぐわかったっていうのに、あなたは全く気づいてなかった。
挙げ句の果てに「女子B」って、何。だれよ!そのことに少し、イラッときたのよ。だから腹いせに私もあなたと同じように知らないふりをしたの』
ふーん。そうだったのか。俺は全くクラスの女子に興味はなく、関わるつもりもないと思っていた。こんな綺麗な子いたか?たしか入学式の日、綺麗な子いないかな〜ってクラスで探してみたけど別にいなかった気はする。そういえば、その時ひとつだけ席空いてたよな。その時休んでたのがコイツなのか?
「なぁ、話は変わるけど、入学式の日、お前休んでたか?」
『ええ、風邪で休んでたわ。それと、お前っていうのやめてくれないかしら。名前で呼んでくれない』
「あぁ、悪かったよ。清水さん」
そうか、昨夜会った女子Bは清水さんだったのか。まぁ、同じクラスだけどこの先関わることはあまりないだろう。
「じゃあ、教室に戻るね。陽介〜帰るぞ〜」
『ええ、また』
女子Bこと清水葵との会話を終え、陽介とともに教室へかえっていった。
『なあ、優希。いつ、清水さんと知り合ったんだ?教えろよ』
「あぁ、昨日帰り道でな。偶然会ったんだよ」
『ふーん、そうか。後で詳しく教えろよな。それと、宿題写させてくれ』
うん、いやだぞ。
『頼むよ、帰りにクレープおごってやるから』
うん、いいぞ。いくらでも写せ。持つべきものはやっぱり友達だよな。
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