番外編3 【レイラと俺と酒の肴の昔話】
「ニア様、どうぞ」
「ありがとう、レイラもどうぞ」
就寝前。
レイラの誕生日以来、一緒にお酒を呑む事が増えた俺たち。
「なんだか、私たち大人になりましたよね」
ニコニコとレイラ。
「そうだな。こっちに来た時はまだ俺は19歳だったし、レイラはまだ高校生だったのかな?」
「そうですよ、私ピチピチでした」
ニコニコと赤い顔のレイラ。
「‥‥‥ピチピチって」
レイラはお酒が入ると上機嫌になる。
「はじめは自分が死んだ事実が凄いショックで‥‥‥かなり皆さんに迷惑かけちゃってましたよね」
「まあ、普通そうなるよ」
「ニア様はたくましく生きておられました」
「俺はちょっと変だから」
我ながら妙なフォロー。
「あの出会いがあったから、私は‥‥‥」
トロンとした目で俺を見るレイラ。
これはかなり酔ってるな‥‥‥。
「レイラってさ、あっちの世界ではどんなだったの?」
今まで一度も聞いたことがなかった。
なんとなく未練がありそうなレイラには特に聞けずにいた。
「物凄く今更な感じですが、それ聞くんですね。でも、聞いてきたって事は、やっぱりニア様は私を知らなかったという再確認ができましたよ」
ニヤニヤ顔の真っ赤っかレイラ。
「‥‥‥と、言いますと?」
記憶にないがあっちで会った事があるのかな?
「ニア様、NGR14って聞いた事あります?」
「‥‥‥あ、知ってる! あっちの世界のアイドルグループだったっけ?」
確か、敏腕プロデューサーの元に集められた女の子達で結成した、国民的アイドルグループだ。
社会現象を巻き起こし、物凄い人気だった記憶がある。
「一応知ってたんですね」
「知ってるよ、なんかニュースでめっちゃ見た。あっちの話ってなんか凄く懐かしいな」
「確かにそうですね」
ニコニコとレイラ。
やっぱり楽しそう。
そして可愛い。
「で、そのアイドルがどうしたの?」
「‥‥‥えっと、私そのグループのセンターだったんですけど‥‥‥」
「‥‥‥センターって真ん中で歌う人?」
「はい」
「凄っ!!」
レイラ凄え!
「結構有名になってる自信があったんで、初めはニア様も気付いてるものだと思ってたんですけどね‥‥‥」
「なんかすいません‥‥‥」
「ニア様が謝る事じゃないですよ」
相変わらずニコニコ顔のレイラ。
レベルを上げる前から顔が可愛いと思っていたが、なるほどアイドルだったのか。
魅力のノビが高いのも納得。
「‥‥‥そりゃ、こんな世界に飛ばされたらショックだよな」
「あ、気にしないでくださいね。私は向こうの世界の頃なんかより、今とっても幸せなんですから」
ニコニコレイラは俺の側に椅子を移動して、横に来ると俺の腕をサワサワと触ってきた。
やはり酔ってるな‥‥‥。
「ニア様は?」
「ん?」
「ニア様は、あっちの世界ではどのような方だったんですか?」
「ああ、俺も実は超絶な有名人だったんだぞ!」
「え? そうなんですか?!」
「フッフッフッ、今の反応でレイラが俺を知らなかった事の再確認になった」
「‥‥‥真似されちゃいましたね」
「何を隠そう、俺は弱小高校で甲子園を目指した高校球児で、最後の夏の大会地区予選の決勝で敗退し、子供の頃からの夢だったアイテム『甲子園の土』に手が届かなかった、哀れなエースピッチャーの
「すいません、知りませんでした!」
真剣な顔で頭を下げるレイラ。
「‥‥‥いや、今のはギャグだから。予選で負けたピッチャーなんて誰も知らないから」
でも、ちょっとだけ新聞に載った。
「だからニア様は、投げる事にこだわってたんですね!」
「‥‥‥別にそういうわけでもないんだけど」
ただ剣を買うお金がもったいないと思っただけです。
「ニア様のコントロールが、物凄く良い理由がわかりました!」
「まあ、それは自信ありです!」
「今まで話さなかったし、聞かなかったですけど、お互いに昔の事がわかって良かったですね」
「そうだね」
「ニア様‥‥‥私、少し眠くなってきちゃいました」
「ああ、ごめん。長話に付き合わせちゃったね。お開きにしようか」
「‥‥‥あの、一つご相談が」
「‥‥‥なんでしょう?」
「その‥‥‥一緒に寝てもいいですか?」
積極的な真っ赤っか酔っ払いニコニコレイラ。
上手い、なんてナチュラルな流れなんだ!
そして可愛い!
俺はどうするかって?
断る理由は‥‥‥ない。
そう、全くない。
むしろ‥‥‥うん、そうだな。
そういう事だ。
「うん。寝ようか」
「はい!」
俺とレイラの壮絶な夜が今始まる!
─────────────────
【後書きのようなモノ】
話がダラダラと長くなりそうだったので、本編で書いてなかった二人の過去の話でした(笑)
投げる男はこれにて終わりにしようと思います。
番外編まで読んで頂き本当にありがとうございましたm(__)m
ち・な・み・に!
頑張って新作書いてます( ̄▽ ̄)
そう宣伝だ!!
↓コレコレ!
【精霊の代弁者〜力(物理)こそ全ての国で頭を使って生き抜こうとしてたら、世界でただ一人の魔法使いになってた話】
https://kakuyomu.jp/works/16817139554649467259
よろしければこちらも読んでもらえると嬉しいですm(._.)m
本当にここまでありがとうございました!
それではまたどこかでお会いしましょう!
・:*+.\(( °ω° ))/.:+
投げる男〜異世界転移して石を投げ続けたら最強になってた話〜 心太 @tokorotensama
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