とても面白かったです。
まずホラーとして出来が良い(純粋に話が怖い)という側面から楽しめ、さらにありとあらゆる伝承をうまく使って組み上げた落ちまでの過程を楽しみ、最後に意外なラストでびっくりするという玉手箱のような作品でした。
作中に出てきたキーワードを自分で調べてみる、という楽しみ方もできるかもしれません。
そしてコミカルなキャラあり、真面目なキャラあり、おどろおどろしいキャラあり、それぞれキャラクターがはっきり立っているので誰もに感情移入しやすく、悪側であっても事情があって同情してしまうような展開もありました。
筆力が確かなのでホラーシーンは本当に怖いのですが、怖いのが苦手でなければ多くの人に読んでほしい作品です。
こことは違う世界、違う場所の伝承は世界が違えど共通点は多い。
例えば、死んだ妻を取り戻さんと冥界に下ったオルフェウス。
遠野物語の神隠し。
結末は決まって二つ、帰って来れるか、来れないか。
この作品の核心は幼き子供は神隠しから帰って来たこと。
それ以来、死んでしまおうと死ななくなった。
これは呪いか、祝福か。
神の聖痕、それとも悪魔の烙印か。
展開を各話ごとにキリよく終わらせ、次に繋ぐ流れは流石の一言。
その流れにうっかり、死なないからこそ何かしらの代価があるということを流され忘れそうになってしまう。
契約は順守するもの、させられるもの。
夜逃げ、踏み倒しなんて無意味。
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願望は叶ったんでしょ?