エピローグ
11月8日、結婚記念日当日。
祐二と和美の二人は静かなレストランのテーブルに着いていた。
「乾杯!」「乾杯!」
ワイングラスを傾けながら祐二が言う。
「なあ、和美、内緒であんな高いもの買ってごめんな。ちょっと皆を驚かせたくってさ」
「いいわよ。あたしも祐二に内緒でブランド物の化粧品お母さんに買ったりしたもん」
しばらく沈黙が続いた後で、くくくっと祐二が笑い始めた。
「それにしても、お義母さん、あの化粧でどこ行くんだろうな、ふふっ、口紅の色見たか、すんごいぞ、ふふふっ、場末のキャバレー嬢みたいだったぞ、わはは」
「ちょっと祐二、ひどーい、それは言い過ぎよ、でも、ふふっ、あの化粧したお母さんの顔見た時の、ふふふっ、お父さんの顔、みたかった、あはは」
「わはは」「あはは」
結婚12年目の記念日はこうして過ぎていった。
(完)
愚者の贈り物 柊木祐 @book_lover
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