あったか夫婦の幸せ夕御飯

大切な人が、なにか一つでも「自分の好きな食べ物」を憶えてくれていたら嬉しいものです。

けれども、例えばこの物語のように「蕎麦」と「天ぷら」のうち、片方が自分の苦手なものだったら? 

片方は好きだけど、片方が嫌いなことを妻に言えない「旦那さん」の優しさと、妻のさりげない気遣い。読みながらニヤニヤしちゃいました。

お互いの「嫌いなものを知っている」という描写より、お互いの【好きなものを分かち合う姿】にフォーカスを当てたところが、この物語の最大の魅力です。作者の優しい心根が表れています。あったかお蕎麦のように、夫婦の温かさが身に染み渡ります。読んで幸せ満腹です。