すくいすくわせ獣道
ある人は歌っていた、
もう孤独じゃないけど内に巣食う獣ともうしばらくは、やっていくって
僕はそれを聞いて少し救われた気がしたんだ
君とはもう何年の付き合いかな
最初は特に意識してなかった
君は僕で僕は君だったから
とある世界では君みたいな喚くだけのやつがいてもかまわないって
むしろ最初はいることが多いって
だから僕は君のまま過ごしていこうと思った
でも君との生活はやっぱり散々で、
僕の失敗を全部君のせいにして
君みたいな獣さえいなければきっと救われるんだって思ったりした
だけど、いざ君のいない未来を想像したら
僕は僕として生きていけるのか不安で
もしも君以外の多くの誰かと接することで君が小さくなって声も聞こえないくらいになったらきっと穏やかな世界になるのかなって思うんだけど
それでも僕はあんまり変わらずにひょっとしたら書いていけるんだろうけど
僕までもが君の声を聞かなくなったら
君の喚き声はどこにいくんだろう
誰が僕の声を掬うんだろう
しかしどうやらその歌によると孤独じゃなくなっても君はまだ内側に巣食ってるらしい
救われないね
できるだけいつまでも君とやっていこう
できるだけいつまでも僕とやっていこう
巣食う君をすくえるのは、きっと僕しかいないんだろうから
僕の喚き声をすくってくれるのは君しかいないんだろうから
きっと僕ら長い付き合いになるんだろうから
泥の泡 金浦 樹 @1tuza_kanagawa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。泥の泡の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます