第24話 もっと強く
「いやァああん‼ だめぇえええええ‼‼」
東華は立ち上がるとまわれ右。俺にお尻を向けると、スカートを押さえながら光姫のもとへと走り去った。東華は床に倒れ伏すストライプヒモパンツを慌てて拾い、はいてからもスカートを両手で押さえ、もじもじしている。
俺へと振り返り、東華は前かがみになりながら俺を見上げた。
「みみ、見たでしょ! あんた見たでしょ!」
赤面しながら俺を上目づかいに見つめる東華。その姿はなんていうか、反則なくらいエロかった。
俺は東華のスカートのなかを鮮明に思い出しながら、可能な範囲で冷静な表情を鳥作ろうとして断念、両手で鼻から下を隠しながら、声だけは冷静に、
「ありがとうございました」
「感謝するなぁ!」
自分でも何を言っているんだろうと軽く引いた。でも、謝罪しようと口を開いたら、自然とこの言葉が溢れてしまったのだ。
「あうぅ、み、みられた、ぜんぶ、ぜんぶ……」
東華が両手でスカートを押さえながら前かがみになると、東華の爆乳が両腕で押し上げられて、つい見入ってしまう。
思春期って辛いよね。
「安心しなさい東華」
そう言って東華を励ますのは光姫だ。光姫は東華の肩を手を置くと、ぐっと親指を立て、
「アタシは全裸を見られているわ」
「あたしと関係ないでしょ!」
東華の叫びを無視して、光姫はひとり、うんうんと頷く。
「だいじょうぶだいじょうぶ、アタシは海よりも深くて空よりも広い心の持ち主よ。雪人にアタシ以上のセクシーアピールをしていたらひき肉にしてやるところだけど、今回のことは特別に許してあげるわ」
「なんであたしが許されなきゃいけないのよ!?」
東華の鋭いツッコミを、光姫はきょとん顔で受け流す。
「なに言ってんのよアンタ。いーい東華、男が女の子体に興奮するのは自然の摂理よね?」
「え? ……えっと、うん、そうね」
「なら東華のせいで雪人が興奮して、アタシのことでいっぱいになるべき雪人の脳内に東華の記憶が焼きついちゃったかもしれないじゃない。これは立派な人権侵害よ。ならアンタがやるべきは三つ指と額を床につけて『彼氏にセクシーアピールをしてごめんなさい』と謝罪することよ」
「え? え?」
「それに恥ずかしがることはないわ。雪人は今夜、アタシと一緒にお風呂に入るから、アタシの記憶で上書きされて、アンタのことなんて覚えていないもの」
俺は奥歯を噛みしめた。光姫のやつ、そんなことを企んでいたのか。
否定したいのはやまやまだが、東華のためにもここは否定しないほうがいいのだろうか。
「一緒に!? こ、高校生なのにずいぶん、す、すすんでいるのね……」
東華は小声を漏らしながら、俺と光姫を見比べた。
「じゃ、じゃああたしは帰るから、それと雪人。あんた、彼女持ちながらもっと強くなんなさいよ」
そう言い残して、東花は立ち去った。
なんというか、今日はとにかく刺激の強い一日である。
これから、俺の学園生活はどうなるのだろうか?
言い知れぬ興奮と共に、一抹の不安が胸に湧いた。
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あらすじで説明した通り、昔書いたのはここまでです。続きを書きたかったのですが、ボツにされた企画です。
現在、カクヨムに投稿中の【スクール下克上】がコンテストで受賞し、2022年3月1日本日に書籍が発売します。
一読してくれると嬉しいです。
百獣皇帝 獣人学園バトル 鏡銀鉢 @kagamiginpachi
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