転入生

@ampmochimomo

第1話 初めてのニコイチ

「おはようございます」

近くの教師に挨拶をして、下駄箱に靴を入れる。間違って一年生の靴箱に入れそうになって、慌てて二年生の靴箱に入れなおした。今日からいよいよ私は先輩となる。少しだけそわそわしていた。それは、教室に入っても感じ取れた。

「今日からいよいよ先輩だね」

通学バックに入っているものを取り出しているところへ、友人が話しかけてきた。

「小林が先輩になれるの?」

友人がいじってくる。なれるよ、といつものように返した。

「そうえば、今日転入生が来るんだって」

私も、それは風の噂で耳にしていた。それで、教室がやけにそわそわしているのもあるかもしれない。だが、私は同時にあることを胸に秘めていた。

 それは「ニコイチ」をつくることだ。私にはニコイチがいなかった。周りにはニコイチの子がたくさんいる。私と話している友人も無論、例外ではない。周りの子と同じ高みに立ちたかった。

 色々と話していると、チャイムが鳴った。担任が教室へ小走りでくる。若い男性で、眼鏡をかけているイケメンのくせに熱い人だ。教室の廊下側の窓を何気なく見ると、少女が立っていた。ショートヘアで明るそうなだった。多分、あの子が転入生だろう。

「えっと。耳にしている人も多いと思いますが、今日からこのクラスに新しく仲間が加わります」

担任がどうぞ、と教室の扉をガラガラと開ける。少女は堂々としているように見えた。私だったら緊張で固まってしまうだろう。

「初めまして。水谷心音と言います。仲良くしてくれたら、うれしいです。これからよろしくお願いします」

私の予想通りの子だった。少なくとも、期待は裏切られなかった。声や態度から「ザ・陽キャ」ということが伝わってきた。私は大人しい子とは、ニコイチにはなれないからだ。私が思い描いているのは、明るい子とはしゃぐことだった。

「はい、拍手!」

担任が場を盛り上げようとする。それに便乗して、男子が三本締めをする。心音が笑顔を見せた。可愛らしくて、活発な笑顔だった。

「水谷さんは、小林の隣の席に座って」

隣の席を見ると、空白の席があった。特に気に留めていなかった。が、急にそわそわし始めてしまった。

「これからよろしくね」

心音が小声で言い、私の隣の席へ座る。私は軽く会釈をした。

「ねえ、名前なんていうの?」

休み時間になり、心音が話しかけてきた。これほどラッキーなことはない。私はワクワクしながら、会話に食いついた。

「小林優香っていうの。よろしくね」

そこからは世間話をした。そこからは世間話をした。そこで同じアニメが好きなことがわかった。部活ももともと私と同じ部活に入っていたらしく、私と同じ部活に入ることになった。

 帰りも変える方向が一緒なので、一緒に帰った。

「ねえ、これから『ゆっちゃん』って呼んでいい?」

私は驚いたと同時に嬉しかった。自分にあだ名をつけてくれる友人なんていなかった。

「もちろんだよ」

私は有頂天になりながら返事をした。

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