おっぱいを揉む方法

広晴

おっぱいを揉む方法を考える男


おっぱいを揉みたい。

大きいのがいい。

三大欲求の一つがやたらと高まっている。

ありていに言うと溜まっている。


大杉孝弘、25歳、就職3年目。独身。もちろん彼女もいない。

だが揉みたい。

どうしたらフツメンの俺がおっぱいを揉めるのか、金曜日の仕事帰りのバスの中で暗い窓の外を眺めながら、疲れた頭で考える。

とはいえ、方法は3通りしかない。


①無理やり。


犯罪。却下。

さすがにそこまで追い詰められてない。

それぐらいだったら②の方法を取る。


②買う。


無理。却下。

そういう「おもちゃ」を買ってそれで辛抱するのは、揉むことを諦めることと同意である。

この場合の「買う」とはそういうお仕事をなさっている方にお支払いしてお願いすることだ。

だが、微妙にお高い。

初めてお会いする方にそういうことをお願いすることを考えれば、仕方がないのだろう。

後先考えなければ出せないわけではないが、その後の生活水準が大きく下がる。

あと、そういうお店に行くのホント怖い。無理。


③彼女を作る。


結局これが王道なのだ。

これしかないのだ。

おっぱいを揉むために彼女を作るという動機はどうなのか?

いいんだよ!

大事にすれば! 結婚を視野に入れて真剣に考えれば、結果OK!きっと!



ではどうやって彼女を作るか。

難題だ。


大学で一度だけお付き合いした子は、新歓コンパで出会った。

お互いに泥酔して、送っていって、どちらからともなくごにょごにょして。

そこからだらだらと付き合いはじめ、自然に別れた。

あれは参考にならない。


職場には、おばs、失礼、妙齢のご婦人しかいない。皆さま既婚だし。

同僚たちと仲は悪くないが、そこまで踏み込んで付き合いが無いし、彼らから合コンの話などを聞いたこともない。


だめだ、まずは出会わなければどうにもならん。

だがどこで?



バスが自宅ワンルームマンション近くの停留所に止まった。

カードを読み取り機にかざしてバスを降りる。


悶々として出会いの場を考えながら歩いていると、ふと路肩のゴミステーションが目に入った。

女性の生足がゴミ袋から生えていた。


えぇ・・・。

小説や映画、ドラマなんかで時々見聞きするシチュだけど、実際目にすると結構、最初は脳が理解を拒むものだった。

まず思ったのは「あれ何?」だ。

次に思ったのは「本物?」ときて。

「生きてる?」と続く。


ちょっと怖い想像をした。

周囲を見回す。

夜22時近いと、このあたりに人気はまったくない。

色っぽいおみ足だけど、死体かもと思うとお腹あたりがきゅっとなる。


恐る恐る近づくと、腰から上が半透明な地域指定ごみ袋に覆われていて、うっすらと上半身が透けて見える。上と繋がってた。良かった。でも今日は指定日じゃないんだけど。


腰から下は白いシルクっぽいおパンツ様1枚で、裸足のおみ足が丸見えである。

お腹のあたりがゆっくり上下しているので、生きてはいらっしゃる。

ほっとした。


生きてることを確認出来たら、途端にエロい目でおみ足を見る余裕ができた。

パンツ可愛い。

ちょいむっちりした下半身がとっても好みだ。

あとはお顔だが、と考えたところで、ボコボコに殴られて息も絶え絶えの上半身が出てきたら、と想像して、急に怖くなった。

すぐに近づいて袋の口を縛っている麻ひもを解く。

がさがさと上半身を持ち上げて膝に乗せ、ゴミ袋をはがすと、上半身はスウェットのようなグレーの部屋着で、お顔はボコられてはおらず、ボブカットの可愛らしい顔立ちの女性が眠っていた。

むわっと袋から解放されたアルコール臭が漂う。酔って眠っているのかな。


さて、これはどうするのが正解だろうか。


  警察へ通報。

→ 部屋へ持ち帰る。

  このまま放置。



スケベ心丸出しでお持ち帰りを選択した。

背負った背中にむにょん、と素敵な感触が当たる。

下半身のむっちり具合に比例して、おっぱいもなかなかのものをお持ちでした。


おっぱいを揉める。

汗をかきながら早足で女性をおぶって運ぶ俺の頭の中は、そのことでいっぱいだった。



◆◆◆



すごく素敵でした。


ドアにカギをかけてベッドに横たえ、スウェットを脱がしても彼女は眠っていた。

スウェットの下は裸だった。

素敵なおっぱいをしっかり堪能させていただいた。



完全に暴走していた俺が次へ進もうと白いおパンツ様に目をやったとき。

「げえふっ」

安らかに眠る彼女の愛らしいお口から、男らしい、胃の中の空気を吐き出す音がした。

ただようアルコール臭。

頭が冷めた。

俺は、おパンツ様を脱がせる直前で踏みとどまれた。



彼女に薄手のタオルケットを掛け、目を無理やり剥がしてPCデスクの椅子に腰かける。

ゆっくりと深呼吸をして、時間をかけて気持ちを静めた。



◆◆◆



犯罪者になってしまった。


・準強制わいせつ及び準強制性交等罪。刑法第178条1項。


1.人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。


・強制わいせつ。刑法第176条。


13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。




スマホを床に置く。orz。

スケベ心が暴走してえらいことをしてしまった。

・・・またゴミステーションに捨てに行くか?

鬼畜過ぎる。

でも彼女が目を覚ましたら、逮捕されるぞ。

・・・。

・・・。

・・・。


よし、覚悟した。

明日、彼女が目を覚ましたら土下座しよう。

おっぱいを触ったことは認めて、でも最後まではしてないって必死で謝って、ごめんなさいしよう。

許してくれなかったら、警察だ。

腹の底が重くて冷たい。

ベッドの彼女の顔を見ると、安らかに眠っていた。

改めて罪悪感が湧いてくる。


俺はベッドから離れた床に正座して目を閉じた。

彼女が起きて、目が合ったら、すぐに額を床に擦り付ける。

そう心に誓って、切腹する武士の心持に思いをはせた。

どこかから、また「げふっ」という音が聞こえた。

ああ、素敵なおっぱいだったな。



◆◆◆



私が目を覚ますと、違和感があった。

知らない柄のエメラルドグリーンのカーテンが目に入る。

私の部屋じゃない? 飲んでたリビングでも、たまみぃの部屋でもない。

ここどこ?

タオルケット、いーにおい。でもこれも見たことない柄。

上半身を起こすとガンガンと頭が痛む。

おえ、また飲みすぎちゃった。

家の中だと自制が利かないんだよなあ。

また、たまみぃに怒られるなあ。


人が息を吸う音が聞こえて、横に顔を向ける。

「たまみぃ、ごめん。ここどこ?お水ある?」

目を向けると、知らない部屋の玄関の近くに正座している、知らない男の人がいた。

目が合ったと思った瞬間、私が何か考える前に、ガツンッとかなりの音がして、男の人のおでこが床に激突した。


「申し訳、ありませんでしたッー!!」


男の人が叫んだ。



◆◆◆



ゴミステーションに友人の山本絵美がいないのを見たとき、私は頭が真っ白になった。

大変なことをしてしまった。

さっきの絵美の格好はかなり、あられもないものだった。

私の一時の激情で、友人の貞操が危機にさらされている。

泣きそうになりながら絵美の姿を求めて走り出した。

じっとしていられなかった。

意味のあるなしなんて考えてなかった。

何かしないと気が狂いそうだった。後悔に押しつぶされそうだった。


体力が切れ息が上がるまで、周辺を走り回って、でも人影も見えなくて。

泣きながら一度家に帰った。

リビングで酔いながら「ひどいよ、たまみぃ~」って言う絵美に出迎えて欲しかった。

でも絵美はいない。

しばらく放心したが、すぐに思い立って交番へ行った。


近所の交番にも絵美が保護されていたりはしなかった。

私は事情を説明して、年配の警官の方に優しく諭された。

状況を説明し終えて、書類に記載をし、捜索願を出す。

家に帰り、私にできることがとうとう無くなってしまって、リビングで絵美の無事を祈り続けた。



夜が明けてきたとき、絵美の部屋から携帯の着信音が鳴り始めた。

すぐに立ち上がって部屋に入り、絵美の携帯を手に取る。

見たことのない番号が表示されているのを見て、怖かったが恐る恐る電話に出ると、「たまみぃ~」とちょっと泣きが入った友人の声が聞こえた。

「絵美っ!大丈夫なのっ?!」

「大丈夫~。ちょっとあの、恥ずかしいこともその、アレだけど。あの、私の服を持ってきてくれると助かるなあって。」

意外と声は平常運転だ。少し安心する。

昨夜の絵美の格好をまた思い出した。確かに服はいるだろう。

「どこに持っていけばいいの?!」

「え~と、大杉さん、ここどこですか~?」

離れたところからぼそぼそと声が聞こえ、「ちょっと換わるね」と絵美が言った後、初めて聞く男性の声が聞こえた。

「もしもし、失礼いたします。私、いま山本さんをお預かりしている大杉と申します。大変ご心配かと思いますが、山本さんは無事、ん・・・。いえ、そのひとまずお元気です。ご安心ください。」

内容は全然安心できないけど、落ち着いた聞き心地のいい声だ。バラエティに出てた声優さんみたい。

マンション名と目印を聞くと、かなり近所だった。

昨夜、その建物の前を走ったと思う。


旅行鞄に絵美の服を放り込み、すぐに家を出た。



◆◆◆



大杉さんの隣で服を着た私、山本絵美も正座していた。

斜め前には、しかめっ面で正座するたまみぃ。

3人とも正座だ。正座トライアングルだ。なんだこれ。


たまみぃは私とシェアハウスしている大学からの友人、片岡珠美ちゃんだ。

セミロングの毛先をゆるふわにした美人さんは正座も様になるが、少し髪が乱れている。心配をかけて申し訳ないなって気持ちと、そんなに心配してくれてうれしいなって気持ちがない交ぜになる。ちょっと複雑だけど。


大杉さんはこの部屋の家主さんで、私をお持ち帰りしておっぱいを触った人だ。

起きたらパンツ1枚だったから見られたのは間違いないと思う。というか起き抜けに見られた。

でも触られたのは覚えてないし、すごく一生懸命謝ってくれて、本当に反省してるのが伝わってくるので、あんまり怒ってない。甘いのかな? でもちょっと可愛いし。


私が目を覚ましたあと、大杉さんのつむじから状況を説明されて、恥ずかしいやら意味わからないやらで涙目になった私は、慌てる大杉さんから携帯を借りて、なんとか私の携帯にコールした。

幸いすぐに慌てた様子のたまみぃが電話に出てくれて、大杉さんの部屋に来てもらった。

服はたまみぃが持ってきてくれた。


その際に大杉さんから、携帯の写真や動画を確認してくださいと言われ、大杉さんの携帯にいかがわしい写真や動画が無いことを確認させてもらった。他にカメラなんかが隠されていないか、好きなだけ部屋を見てくださいとも言われた。

あと、おトイレを借りてどこまでされたのか確認したが、それらしい痕跡はなかったので、胸しか触ってないというのは本当かもと思った。

大杉さんはずっと土下座し続け、絶対に自分からは私に近づかなかった。

お顔はすごく思い詰めていて、気にしないでって言っちゃいそうになった。

こんな良い人そうな人に、おっぱい見られちゃったんだ、お持ち帰りされたんだ、と思うと、なんだか顔が熱くなった。



で、私をゴミステーションに捨てたのは、たまみぃだった。

以前から私が家でたびたび泥酔して色んな当番をサボることに、たまみぃは苦言を呈していた。


昨夜、仕事から帰ると、買ったばかりの大型液晶テレビがテレビ台から落ちて粉砕しているのが最初に目に入り、次に床で寝ている私と大量の空きビール缶を見たたまみぃは、激怒して私にゴミ袋をかぶせて捨ててしまった。やることが怖い。


リビングを片付け終わるころには冷静になり、慌ててゴミステーションに回収に行ったが、すでに持ち去られた後で、焦って一晩中探していたらしい。



今、大杉さんのワンルームマンションに集って正座トライアングルを構成する面々は、


ルームシェアしている友人の度重なる苦言を聞かず、泥酔して高いテレビを壊した私。

泥酔した半裸の友人をゴミステーションに捨ててしまったたまみぃ。

私をお持ち帰りして、やらしいことをした大杉さん。


これがカオスか。


いったい誰がどれだけ悪いのか。


大杉さんはずっと頭を下げ続け、「警察に突き出される覚悟も、言われるだけお金を払う覚悟もあります。」と言った。

やったことはアレだけど、ここだけ切り抜いてみると真面目で誠実そうに見える。

やったことはアレだけど。


たまみぃは「私がカッとなってあんな格好の絵美を捨てたのが悪い。男性があの状態の女性を見つけたら無理もない。」と言い、「罪悪感に苛まれるから、大杉さんを警察に突き出して前科をつけないで欲しい。」と私に訴えた。

え、どんな格好で捨てられてたの、私?


私はテレビを壊した記憶がなかったので、壊したこと、それを覚えていないくらい泥酔したこと、言うことを聞かなかったこと等をたまみぃに謝った。


こういうのも修羅場というのだろうか。


結局、たまみぃは私を許し、私は禁酒を約束した。


あとは大杉さんをどうするかだけとなった。



◆◆◆



俺は言うべきことを言ったらあとは黙って2人の会話を聞き、沙汰を待った。

片岡さんのおかげで逮捕は回避できそうな流れだ。

だが無罪放免と行くわけがない。

こういう場合の示談金の相場なんかは分からないが、よほど法外でなければ言い値で払うつもりだった。

昨日の夜から金銭以外の償いも考えたが、何も思いつかなかった。

なるほど、こういうことを防ぐために、風俗業というものは必要なのだなと、俺は悟った。高い授業料になりそうだ。


2人がこちらへ目を向けた。

沙汰が下るのだろうか。

可愛い山本さんと綺麗な片岡さんの2人に何とも言えない目で見られて落ち着かない。

「嫌な顔で~」とか「土下座で頼んだ」とかの作品にあまり興味はなかったが、落ち着いたら改めて見てみることにしよう。何かが掴めるかもしれない。



「大杉さん。」

と俺に声を掛ける山本さん。

「はい。」

俺は頭を下げ、流れるように正座から土下座の姿勢に移行した。

気分は大岡越前の前、御白州の上の罪人だ。


「あの、頭を上げてください。」

「そういう訳には参りません。」

「お願いですから。話しにくいですから。」

「・・・畏まりました。」


再び顔を上げる俺。


「たまm、じゃない、片岡が、あんまり厳しいと罪悪感を感じるというので、警察には通報しません。」

「・・・はい。ありがとうございます。」

「確認したいんですけど。」

「はい。」

「本当に、胸しか触ってないんですか?」

「はい。」

「本当に?」

「本当です。ですが山本さんのような魅力的な女性と一晩同じ部屋で過ごして、その、していないなどと、信じていただけないのは無理もないと思います。ですので、そういうことをされた前提で、金銭を請求されるなり、私への処分を決めてくださってかまいません。」

どうして踏みとどまれたのか思い出したが、語らない。


それを聞いた山本さんが片岡さんと小声で話し始める。

「トイレで・・・」とか「・・・出てきた?」とか切れ切れに聞こえたが、意識を逸らしてそれ以上聞かないようにした。

顔を赤らめた2人はしばらく協議を重ねた。


少しして再び山本さんが、

「あの。片岡はあなたを信じていいんじゃないかと言ってます。私も、そう思っています。」

「え。」

「大杉さんはずっと正座と土下座のままで、私に近づこうともなさいませんでした。それにその、胸についても言わなければ分からないのにわざわざ言われて。あと、おっしゃっていることとか、携帯の中身を確認するように言われたこととか、誠実な方だなと、思いました。けど。」


山本さんはそこで言葉を切って口をぎゅっと引き結んだ。

思いがけない好感触だが。

「けど」のあとは、なんだろう。

審判が下されるのを待つ。



「む、胸を見られて、触られたことはやっぱり恥ずかしい、です。なので、えっと執行猶予!とします!」

真っ赤な顔で山本さんが言いきった。

「執行猶予。」

おうむ返しする俺。


ん?どういうこと?



◆◆◆



ジャズが流れる店内で小さめのテーブルを囲み、山本さんと片岡さんが笑いかけてくる。

「大杉さん、おいしいですか?」

「私とたまみぃのお気に入りメニューなんですよ。」

ここは2人の行きつけのバルだ。


「おいしいですね、このアヒージョ。トマトがすごく美味しいです。」

「へへ、よかったぁ。」

テーブルに肘をついて可愛く笑いながらグラスを傾ける山本さん。


「あっ!ちょっと絵美!あんた何飲んでるの!」

「やべ。」

「もう、この飲兵衛!禁酒の約束をもう忘れてるんだから。」

綺麗な眉をへの字にして、困ったように笑いかけてくる片岡さん。


「今日は大杉さんが送ってくれるからへーきでしょー?」

「またゴミに出すわよ!」

「やぁん。また大杉さんに犯されるぅ。」

「人聞きの悪いこと言うの止めてもらえます?!」

3人とも笑顔だ。

かつてのことはもう、笑い話になった。




『しばらく、私たち2人であなたがどういう人か見極めさせてもらいます。』

「執行猶予」宣言のあと、片岡さんが、山本さんの発言に補足するようにそう言い、定期的に3人で会って話す時間を設けることになった。

片岡さんが警察に出した捜索願は、3人で交番へ行って取り下げてもらい、揃って呆れながら怒られた。


3人で会うのは、最初は緊張した。

2人は美人だし、フランクに話してくれるけど、気に入られなかったら多額の請求が来ると思って冷や汗ものだった。

山本さんの顔を見るとあの素敵なおっぱいを思い出すので目線を外しがちになるし、山本さんもあまり目を合わせてくれなかったが、片岡さんが俺にいろいろ話しかけてくれたおかげで打ち解けることができた。

「見極め」に関係する質問だろうな、と思われる突っ込んだ内容の質問(収入や過去の恋愛遍歴など)もあったが、全て誠実に答え、不公平だからと片岡さん自身のことも話してくれた。そうしているうちに、山本さんも自身のことを話してくれるようになり、3人でいろんなお店へ行って食事をするようになった。

そのうち2人との会話にも慣れ、「あれ、これ美女2人との友達付き合いになってね?」と気づいた。


何しろ最初の出会いがアレだ。


頻繁に記憶がなくなるくらい酒に溺れる準アル中女。

切れたら何をするか分からない怖い女。

酔っ払い女をお持ち帰りするスケベ男。


ある種、最悪の出会い方で、互いの悪いところを見せあったところからスタートだ。

なのに互いにひどい悪印象が無いのだから、気兼ねなく付き合える友人になるのにそう時間はかからなかった。



「でもそろそろ、そのイジりは勘弁してほしいなあ。反省してます。ホントに。」

両手を合わせながら2人に頼む。

2人は顔を見合わせて、くすくすと微笑んで僕に答える。


「まだまだ、見極めは必要よ?」

片岡さんが、セミロングのふわふわ髪を指で巻き、その指で自身の唇に触れながら微笑む。


「私のおっぱいはそんなに安くないんだから。」

山本さんが少し恥ずかしそうに自分の胸を抱えて、かえって強調してしまっている。


ちょっとだけアレだけど、こんな魅力的な女性たちと仲良くなれたことは、とても幸運だった。

ああ、今日も楽しいお酒になりそうだ。



<終>

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おっぱいを揉む方法 広晴 @JouleGr

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