6枚目〜癒しのひとときと微風〜
梅雨に入り雨音が心に染み渡る6月14日、15時をもうすぐに回る頃。
「オーナー清掃終わりました。次の指示お願いします。」
新人の子が元気よく声をかけてくれ、庭から目を離す。少し山に入りかけたこの場所は思いの外利用してくれる方が多い。
今日は、近くの大学に講義にきた専門家2団体が泊まる予定だ。
「お越し頂きありがとうございます。こちらでチェックインさせていただきます。」泊まりに来られた専門家は自分と同じ年代の様な雰囲気で驚きを隠し対応をしようとした。新人の子がすぐに来てオーナーは休んでてくださいと言われつつ自分も案内するよとすぐに口に出してしまったが、好意に甘えることにした。
しばらくして、次の団体も到着し自分で案内することにした。若手企業の開発部の方らしく、この町に来るのが初めてだと最初に言った。部屋まで案内中に、滞在期間等聞いてると部屋に着く。
部屋の説明を終えて事務所に戻るとちょうど仕込みを終えた板前長が休みに来てた。この宿を引き継いだ時に一緒に引き継いだ昔染みだ。もう2人もこの町でカフェを営業している。食事時間やアレルギー等を伝え終わるとすぐに戻ってしまう。今は事務所には1人しかいないことをいい事に今日来られた2団体のプランを見直す。観光プランやオススメの店などを一頻りリストアップし印刷すると夕食の時間に近くなっていた。すぐに食事会場に足を進め、板前長に今日のお品書きに目を通す。食事は任せっきりだがちゃんと挨拶はしたいと思い毎回お邪魔している。板前長と食事の説明をするついでにリストアップしたものを渡す。
この宿の魅力の一つであるそのお客様に合わせた観光プランだが、今回も笑顔になっていただいた。あのクソ客が来たときにあっと言わせるために自分にがお客様に出来る事はできる様にしている。
宿の主な業務も終え、残りの昔馴染み2人から連絡が来ていたので、板前長を誘い深夜の坂道に出る。
「お前まだあのクレーマーのこと気にして無理してんじゃないのか?」
道中数分は互いに無言で歩いていたが耐えられなくなったかの様にその声が聞こえる。自分は大丈夫と伝えると心配そうな顔をしながら、少し道の先に見つけた昔馴染みのところへ駆けていく。長い付き合いだからこそ、気がついたのかと思うがその言葉に上手く返事ができないと心の中で思う。
3人が呼んでる様にこちらを見ているのでまた歩き出す。
『君は良い仲間を持っている』
寒いはずなのに暖かな“カオリ”と声が背中を押す。
『君の近くに…みんなを信じて…』
その言葉に一瞬え?となり振り返る。“カオリ”は名残惜しく、微かに鼻に届く。
朝になり、仕事前にスマホで暇つぶしをしようとアプリを開こうとすると誤タップで違うアプリを開いてしまった。白い画面が光り、少し風を感じるが自分も一体化した感覚になっていた。
数日後20時頃
今日も人が来てくれるといいなと考えながら一歩踏み出す。
「いらっしゃいませ!バーチャル宿へようこそ!宿主です〜お食事にしますか?お風呂にしますか?お泊まりになさいますか?」
仲間に頼れなかった男衆はバーチャル世界で皆が過ごしやすい宿を作り上げた。
彼が一流の営業家になりつつある事はもう少し先の話…
“癒しのひとときを届ける
〜Who is the next hero?〜
バーチャルの世界への切符 素人の望月ゆるき @kizukiyuruki
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