5枚目〜星空に灯る二日月がうつる琉璃〜

 12月4日世間では、初雪が降り街もクリスマスムード一色で行き交う家族たちは温かい表情になっていて見ていたこちらまで暖かくなってくる。実家を出て一人暮らしにも慣れたこの頃。家業を継ぐために大学からの帰路を小走りで抜ける。


 家に着くといつもの様に実家の使用人に連絡する。1コールしない内に無心な声が届くので少々呆れそうになったが、すぐに本題に入る。大学に入ってから授業でしたことや家業で手伝えることなどを電話を通して行っている。ほとんど使用人が対応してくれるが、忙しくない時は父や母が出てくれる。

「お嬢様、本日の授業も楽しまれて何よりです。それではご主人様から伝言を預かっておりますのでお伝えいたします。」

「ありがとう。お願いできる?最終課題も落ち着いたからできることあるならそれも教えて欲しいな」

 ある程度の共有が終わると「それでは失礼いたします。」切ると同時にベッドに倒れ込む。顔を埋めぼんやりしたが、そのまま目を閉じそうになり無理して身体を起こし出来る事をしてみる。これでいいのか不安になりながらも確認し作業を進める。


 1時間が経ち、サークルの活動場所へと向かう。大学の近くのカフェのオーナーがご好意で営業時間外にカフェのスペースを貸していただいてる。カフェに入ると、もうメンバーが揃っていた。

「お疲れ様です!遅くなりました!」

「大丈夫だよ〜みんな今着いたところだから」サークル長は笑顔で言うと、早速ミーティングを始めた。普段は気が抜けるような声のサークル長はミーティングの時は、キリッとした声になりメンバーも背筋が伸びてしまう。そんな先輩方を見て少し憧れながらも今に集中するために資料に目を移す。

 10分でミーティングは終わる。各担当で作業を行なってひとしきり自分の作業が終わり一息入れると担当のリーダーが手招きしてきた。リーダーについて入った個室には、サークル長をはじめとしたリーダー達だった。自分が座るのを見て、担当のリーダーが話し始めた。「来年度のウチの担当のリーダーになってくれない?返事はいつでもいいから考えて欲しい」一瞬、辺りが真っ白になったと思ったがすぐに戻る。口を開くと 少し考えさせてください この音が出ていた。


 その後どんな作業をしていたか、どう帰ったかわからないが、気がついたら家にいた。服にはカフェにいた証拠であるコーヒー豆の匂いがついていた。

『迷わないで!』

コーヒーの匂いを消すように懐かしい“カオリ”と声が1人しかいない部屋で聞こえる。不気味で不意に電話をかけようとスマホに手を伸ばす。

『あなたの信じる道を進んで!』

その声にどこか心が救われた気がし夕食の準備をし始めた。

次の日の朝、起きていつも通りに身支度をしてスマホの画面を覗くと身に覚えのないアプリがある。運良く今日は全休だ。興味本位でタップすると暖かな光に包まれ何かに手を引かれる感覚がした。


数ヶ月後

「こんばんみぃ〜!琉姫です〜よかったらゆっくりしていってね〜」

自分に自信が持てないお嬢様はバーチャル世界で皆を楽しませるよう自由に羽ばたく。

彼女がすでに自信を持ち大空せかいを飛んでいることも知らずに


“星空に灯る二日月がうつる琉璃ラピスラズリ”と“自信を持つことができた姫君”の始まり


 〜Who is the next hero?〜

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