4枚目〜月夜を守る白銀の狼〜
3月1日。志望していた大学に最後のスクーリングの為1泊2日でこの街に来ている。今回は4月から借りるアパートの契約の為、親も同伴でプチ旅行になっている。
今話題のアイドルと美人モデルの先輩後輩タッグのポスターの前で賃貸会社から帰ってくる親を待つ。今日はこの街を歩き回り来月からの日々を楽しく想像できたと思う。
親たちが出てきて、今夜泊まるホテルへと向かう。途中の道では、作業服を着たイケメンとその上司そうな人が小学生とキャッチボールしていたり、帽子を深く被った女性たちが漫才をしている様に話していたところが目に入った。
「この街は都会に近い割に人のあったかい街ね」
母はそう言うとこちらに良かったねと言うような顔を向けていた。
自分は頷きながら、「そうだね、早くこの街に住んでみたい」と声にした。表情が上手く出来ていたかは不安だが、そんな会話をしていると今夜泊まるホテルに着いた。ホテルと言うよりも宿に近くて2人して驚いた。
宿のオーナーさんはまだ、20代くらいに見える人で快く出迎えてくれた。世間話の流れで、来月からこっちの大学と言うとオーナーさんはオススメの店などをメモ用紙にさらさらと書き出してくれた。
「この近くの大学生は結構この街のいろんな店を利用してくれるから君も行ってみるといいよ」
オーナーさんはそう言うと、部屋を後にした。メモに目をやると短時間で書いたと思えないほど内容が詳細に書いてあった。母と見ながらその中で回れそうな所を近所に見つけ夕食後に行ってみようと話になった。
夕食を食べ終わり、オーナーさんに声をかけ外へ出ると暗くなり、日中とは違う光景になっていた。メモを見ながら道を進むと、森の中にあるような木造ぽいカフェがあった。中に入るとまだ人はあまり居ないのか、お客さんは1人でマスターも静かに笑顔で迎えてくれた。オススメのフレーバーティとブレンドコーヒーを頼むとマスターから「もう少ししたら大学生がきて煩くなるかもしれませんご了承ください」と困った顔で教えてもらった。すると、タイミング良く大学生の集団が入ってきた。マスターは、いつもより早いな…と呟いていた。
しばらくして、注文したものが届きゆっくり飲んでいると、先程の大学生たちが課題の内容についてマスターに聞いていた。マスターは、やれやれと言う顔で丁寧に彼らの手元を指差し説明をしていた。教え方が良いのかすぐに「ありがとう」と聞こえた。
「本当にこの街に大学があってよかったわ…」母の声が聞こえ、心の奥底を突っついた。
スクーリングが終わり、地元に戻ってきたが、今だに心の奥底に何かが刺さってる。そんな気持ちを押し込み、今日は引越しの準備をしていた。父も休みを取ってくれた様で明日の運び出しも来てくれる。3人でまとめていたので予定よりも早く済んだ。
今は3人で焼肉をするので両親は買い物へと行っているので自分は、最後かもと言思い、高校の近くにある桜の大木へ足を運ぶ。まだ、咲いてない木を見ながら今までのことを思っていると微かに聞き覚えのある声がした。
『自信を持って…』
何に?と聞き返そうと振り返るがそこには、嗅いだことのある“カオリ”がするだけだった。
『君なら大丈夫だから…みんなを守れる…』
不思議にあたりを見渡し大木を少し見て、“カオリ”を吸い込み、家へと帰る。
家に帰り、友達に明日の出発を連絡し終えると気になるアイコンがあった。ダウンロードして忘れてたのかなと考えながらも数分タップするか迷っていた。覚悟を決めてタップすると、優しい光に吸い込まれる様に画面へと落ちていく自分が鏡に映る。
数ヶ月後
「みんないらっしゃ〜い!来てくれてありがとう!ノブだよ!こん・ばん・わ〜!」
大切な人をそばで守りたいと思っていた
彼の中の力に気が付く暇も無く…
“月夜を守る
〜Who is the next hero?〜
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