序盤は平穏な日常が描写されながらも、猟奇殺人事件の話題や行方不明の友人など、不穏な気配が見え隠れしている。パニックの前触れを感じさせるドキドキ感がたまりません。
実在の地名や施設、音楽タイトルなどの存在が、作品への没入感をより高めてくれています。
パニック部分の描写も秀逸で、光景が目に浮かぶようです。良質なパニックムービーを見終えたような満足感が得られました。
ネタバレとなってしまうので詳細は伏せますが、パニックを引き起こした現象の正体は目から鱗でした。なるほど、そういう方向へ向いていたのかと。
完成度が高く、とても満足感の高い作品でした。
皆様も、是非読んでみてください。
この作品はSFというよりはSF(すこし・ふしぎ)と呼ぶのが適当でしょう。もちろん好意的な意味で。
ウルトラQや藤子FさんのSF短編の源流の中にある作品です。
とにかく完成度が高いです。
設定、キャラのバックボーン、文章や情景描写。
それらひとつひとつのレベルもさる事ながらその全てが素晴らしい脚本によって見事に絡み合っています。
アラがまるでなく非常に心地よく最後まで読めてしまいます。
SF要素もありミステリ要素もありそして人間ドラマでもある。それらの要素がお互いを殺す事なく完全に成立しています。
あくまで個人的な感想ですが往年の特撮や今まであったすこし・ふしぎ作品のその最たる作品に肉薄している。そう感じました。
とにかく作品としての出来栄えが素晴らしい。
もちろん内容も面白く、大学生を取り囲む日常が徐々に徐々に崩壊していく、その描写と脚本の流れも素晴らしいです。先が気になって仕方なかったです。
平凡なようで実は平凡でない、そんな登場人物たちの交錯模様も読み応え十分です。
良い小説です。
特撮作品やF先生のSF短編が好きな人には特に、そしてそれ以外の人にも是非読んでもらいたい作品です。