48 恋の結末と愛のカタチ

 かたくなに、一人だけの女を愛したが、僕は今になって思う。

 

 


 誰かを抱きしめたかったのだ。

 

 


 僕は、誰かと繋がっていたい、世界的な画家になって、名誉も富も手に入れたが、僕が、本当に欲しかったのは、ただ、ずっと一緒にいてくれるだけの人だった。

 

 

 

 死ぬ時まで、一緒にいて、しわくちゃになるまで、一緒にいて、愛し合える友達、や恋人だった。

 

 

 

 僕には、もう、いろんな友人が既にいたし、僕を好きでいてくれる女の子もいたのだ。

 

 

 

 けれど、僕は画家としての成功を優先した、結果、画家として成功はした。

 

 

 

 だから、よかったのかと、言われると、わからない。

 

 

 

 画家として、上手くいったのだから、よかったのかも知れない。

  

 

  

 27歳の時、美香と再会して、僕の中で何かが吹っ切れた。

 

 

 

 美香が、いなければ、僕は画家に、なれていなかった。

 

 

 

 美香への、愛と、悲しいくらいの恋心があったから、僕は、美香への想いをエネルギーと活力に変えて、描く事ができた、道を歩む事ができた。

 

 

 

 もちろん、絵は好きだ。

 

 

 

 今でも、描き続けている、きっと、死ぬまでずっと、描くだろう。

 

 

 

 2035年、4月4日、水曜日に僕は結婚した。

 

 

 

 結婚相手は、街で出会った女だ。

 

 

 

 好きかと言われれば好きだが―、美香や、6人の僕を愛してくれた女たちに比べれば、普通だ。




 あとできいた話だが、桧も、もう既に結婚していたらしい。

 

 

  

 桧は、ちゃんと小説家になった。

 

 

 

 20歳にして、既に、国内で最も名誉ある二つの賞の内、一つを取っていた。




 結局、結婚というのは、なかなか、本当に好きな人とするのは、難しい事なのかも知れない。

 

 

 

 結婚と、恋愛は別物なのだろうか。

 

 


 いいや、違う、きっと、本当に好きな人と結婚する事が一番いいのだろう。

 

 


 僕は、間違い、失敗したのだ。

 

 

 

 でも、結婚相手の女との子供をみると、もう、仕方なく思えてくる。

 

 

 

 だって、僕は今とても、幸せだから。

 

 

 

 かわいい、子供ができた。

  

 

 

 今、この文章を書いている、私は、31歳、今は2037年、11月9日、月曜日。

 

 

 

 不死身の僕が死ぬには、桃花から、口移しで、薬を飲まされなくてはならないのだが、僕はいつ、死ぬのだろう。

 

 

 

 美香が死んだ時だろうか。




 しわくちゃの、御爺さんになって、美香がおばあさんになっても、僕は美香が好きで、愛しているだろうか。

 

 

 

 というより、桃花にきいた話によると、僕は、不死身のために、老いる事は殆どないらしかった。

 

 

 

 いつかは、僕も、人間社会では生活できなくなるかも知れなかった。




 流石に、まったく歳をとらない人間がいては、おかしいだろうし。

 

 


 ちなみに、桃花は、薬剤師にちゃんとなって、薬の研究を、大学の研究所でしているらしい。

 

 

 

 彼氏も出来たみたいで、楽しそうに、していた。 

 

 


 最近知った事だが、吉川さんに至っても、もう結婚し、子供もいるらしい。

 

 

 

 まだ、独り身なのは、芸能人の星川さんと、情報複合体の花織くらいだった。


 

 

 ま、結婚とか、子供を残す事だけが、幸せのカタチではないのだけれど。

 

 

 

 「パパ、何描いてるの。」

 二歳になる息子の薫は、私が、文を認めているのをみてきいた。

 

 

 

 「内緒だよ。」

 僕は言った。

 

 

 

 「えええ。」

 薫は、駄々をこねた。

 

 

 

 僕は、薫を抱っこして、肩車した。

 

 

 

 「わあああいい。たかーい。」 

 薫は機嫌がよくなって、忘れた。

 

 


 ママが、娘の、真美を抱っこして来た。

 

 

 

 「真美いい。」

 僕は、真美をみると、思わず顔をほころんだ。

 

 

 

 「よしよし、えらいねえ。」

 僕は、真美を愛でて、撫でた。

 

 

 

 幸せだ。

 

 

 

 幸せな家庭だが、今でも美香の事を思うと、胸が張り裂けそうで、苦しくて、恋し、恋焦がれている。

 

 

 

 美香ほど、人を深く愛し、激しく恋のできる人は今後も現れる事はないだろう。

 



 ま、不死身の僕の一生はきっと、長い、いつ死ぬのかはわからないのだけれど―、

 

 

 

 妻にも、誰にも言えない、僕の、一生の秘め事だ。






 

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