第00話 サイバネ暗殺者装備のサイコキラーが異世界に転移するまで

目に映るのはもう現実には失われた筈の豊かな緑の樹々と澄んだ小川。

そして。


身体はサイバネティクス尽くしのままなのに、何処からどう見ても攫われて行く村娘と、杖やら剣やらを持って露骨にファンタジー色のある緑肌、子供程度のサイズのゴブリン(推定)。




光学迷彩を咄嗟に起動出来てしまった事で少しパニックになりつつあったが、右腕のある筈の場所に眼を向けた事でパニックは治った。

そう、私には心の底から愛していると言えるこの剣があり、覚悟していた愛剣との別離は訪れなかった。

ログアウトも出来ない事は確認した上で、私は再び人生が変わった事を自覚し、その上でこそ嗤うのだ。


あぁ、血と肉と臓物が見たいなぁ。

あぁ、その緑の肌の下の血は、何色なのだろうか。


そして。

ヒトを襲うのは、襲われて良いからだろうな、と。




神聖暦681年、未だ人々に名を知られぬサイコキラーは一先ず眼前のゴブリンを鏖殺する事としたのであった。

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習作リハビリ短篇 サイバネ暗殺者装備のサイコキラーが異世界に転移するだけのお話 山際タカネ @Leraye

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