世界最高の拷問令嬢〜裏社会に生きる私ですが友達の恋を見てニヤニヤしています〜

ネリムZ

これが私の人生

 私の人生は両親が戦争に出て亡くなった所から分かった。

 両親が亡くなった悲しみを紛らわす様に父の書庫に篭って様々な本を読んでいた。

 そしたらこの家に関わる事本を見つけ出した。

 私はそれを読んで家のカラクリを解いて家の秘密を知った。


 この世界の魔力と呼ばれる万能エネルギーを利用して使う『銃』と言う武器や様々な拷問。

 私は両親がどんな人でどんな事をしていたのかを知った。

 両親は私にコレを引き継がせる気は無かったようだ。


 ───だけど私は生きる為にこの世界に足を踏み入れた。もう、戻れない程に。







「で、あなたは隣の帝国にこの国の機密情報を逐一報告していた、と」


 私は色々とそのブッサイクなおっさんの苦しむ声を聴きながら調べた事を書いた紙をペラペラ捲りながら呟いた。


「スラム街の女を拉致しては拷問して楽しみ、死んでも特に問題無いと判断して⋯⋯だがスラム街の人数もきちんと把握していた国王にバレてこの有様。そして、非合法の奴隷売買も使って⋯⋯こんなにも。道理で私にコイツを頼まれる訳だわ」


「き、貴様!わ、わわ我を誰だと思っている!泣く子も⋯⋯」


「うるさい」


 私は踵をおっさんの頭に叩き落として黙らせた。


「公爵家?国王の右腕だと言われた貴族家?何時の話よ。確かに前の世代は立派な方ですね。ですが、貴方はコレでしょ?あ、家の方は貴方の息子さんは引き継ぐ様に陛下が計らっているので問題無いですよ。安心して死んでください」


 ちなみに必要な事は全て履かせた。コイツはデブなので丁度良い方法がある。


「知ってる?豚って雑食なんですよ?そして、普通の動物に魔物の心臓である魔石を無理矢理入れ込むと魔物になるんですよ?豚の場合はオークの魔石を入れてオークに、なのでオークを用意しました!何日も放置されたオーク達は飢えに飢え、男女平等に性的対象にするでしょう。あ、安心してください性器は取ってます。ただ、牙を削って噛む力を低めにして痛みを味わいながら食われるだけですから。オーク達って便利で骨も食ってくれるんです。それではさようなら」


「い、嫌だ、助けて助けてくれぇぇぇぇ!」


「なら、貴様に助けを願った人を貴様は助けたか?それと同じだよ」


 私は拷問室からオークを放って出て行った。数日後にオークは処分する。


「お嬢様、お風呂の準備を済ませております」


「分かったわ」


 私の使用人は全員奴隷だ。

 私からこうなったのでは無く父⋯⋯この家が出来てからコレだ。

 下手に信用の置けない人よりかは裏切れない奴隷の方が便利だからだ。

 奴隷には隷属の腕輪と呼ばれる支配する為の道具が課せられる。

 簡単に言えば裏切らない動く道具だ。


 私は風呂に入って着替えて移動する。

 移動した先は国王の宮殿の裏口でそこから中に入って国王の部屋に直で行ける。


「失礼します」


「来たか」


「だいたい陛下の調べた通りでしたわよ」


「他には?」


「ユダヤ教と繋がりがありました。下っ端なのか繋がりは薄かったです」


「ユダヤか。分かった。報酬は机の上に置いてある」


「今後もご贔屓に」


 私の国王は利用して利用される関係だ。

 私は国王に時には非合法な取り調べ(拷問)や時に暗殺頼まれ。

 私は国王に自分の家の存続と金を貰う。

 互いに最大限の信頼はしない。しては行けない。

 あくまで使う使われるの関係だ。


 明日は学園なので普通な寝る。



 翌朝朝ご飯を食べてから学園まで歩いて行く。

 言ってはなんだが家から学園にはそこそこの距離がある。馬車なんて使う程の金があるなら私は自分の仕事用に使ったりするので余裕が無い。

 悲しいね。


「レイアちゃん!」


 私の後ろから抱き着いて来た無駄に、本当に無駄に胸のデカイ私の友達であり親友のモカだ。

 モカは友としては信頼しているが仲間としての信頼はしていない。

 え、私の胸?想像してくれ。貧乳では無い。


「モカ。おはよう」


「うん、おはようレイアちゃん」


 何時もニコニコのモカの顔を見ると裏社会で生きる私の荒んだ心が癒される。


 一緒に歩いて学園に向かう。モカも貴族だが準男爵家であり貧乏貴族だ。

 私達の通う学園は貧乏貴族専門では無く貴族専門の学園なのでそこそこの学費が掛かる。

 モカの場合は両親が頑張っているようだ。


 学園に着くと正面から赤髪のイケメン少年が走って来る。

 コイツの名前は⋯⋯⋯⋯そうそうアカザだ。

 アカザの周辺や諸々は全て調べた。何故かって?


「モカ、おはよう」


「アカザ君おはよう」


「おはようございます」


「レイアさんおはようございます」


 アカザは流れる様にモカの手を握る⋯⋯前にモカがくしゃみをして意味が無かった。

 2人は恋人同士だ。友の為に調べたのだ。


「アカザ、あんた未だに進展ないの?付き合って何年なの?3年よ?ねぇ?」


「レイアさん怖いです」


「流石に引き摺り過ぎじゃない?手ぐらい繋ぎなよ?」


「だ、だって、僕だって、頑張っているんだよ?」


「2人ともどうしたの?行こ!」


「そうだね」


 モカが私の手を引いて学園の入口に入って行く。


「モカよそこはアカザにしようね?」


「え?」


 キョトンとしないで上げて、アカザが目元に涙を貯めてるよ。

 アカザは黙って近づいて来た。そして学園に入った。

 モカと私は同じ教室なのだがアカザは違う。


 退屈な授業を終えて昼休みになる。この場合はこの学園にある食堂では無く家から持って来た弁当を食べる。

 私は空間収納魔法から取り出してモカはアイテム袋と呼ばれる空間収納魔法の性能を持った袋から取り出して、アカザも隣の教室からこっちに来てモカの隣に座る。


「ジャジャン。自分で作って見ました」


「お、今日はパランか」


「そうだよ」


「モカはパランが好きだよね」


「そうです!」


 パランとはケチャップで炒めた米に薄い卵を乗せた食べ物だ

 アカザがモカの弁当を覗いて呟いて私は笑いながら言う。

 そして3人で自分達の弁当を食べながら交換もしたりする。



 放課後。

 放課後⋯⋯今日は終わりが速かったので余裕があるので散歩する事にした。

 さて、私の仕事を始めよう。

 私にはこの2人を成功させるつもりでいる。つまりゴールイン、結婚だ。

 そして1年様子を見て良いと判断した私は進展させる為に努力した。

 だがな。

 モカは神に愛されてるよ。時には自然的条件で邪魔され、時には社会的条件で邪魔されと色々だ。

 だが、責めて手を繋ぐくらいの進展はさせる。今日こそ!


「あ、レイアちゃん猫だよ猫!」


「モカは猫好きだよね」


「私は可愛い生物ならなんでも好きだよ!」


 猫に近づいて手を伸ばして撫でるモカ。猫も目を細めて嬉しそうだ。


「にゃーにゃー」


「モカ、可愛いけど恥ずかしいから辞めてお願い」


「レイアちゃんもやる?」


「遠慮する。アカザやりなよ?」


「僕をなんだと思ってる訳?」


「ヘタレ」


「即答」


 そんな会話を気にする様子もないモカは猫語を使いながらひたすら等を愛でていた。

 結果、猫が1匹から10匹に増えていた。


「「ん?何があった?」」


 微笑んでいたらいつの間にかこうなっていた。

 いや、本当に何がなんだが分からない状況だよ。


 キリが無いので無理矢理引き離して散歩の続きをした。


「ふふん、ふふん」


「モカ何かいい事あったの?」


 アカザが聞く。


「実は今日は新作のパンが出る日なんだよ!」


 ああ、そう言えば行きつけのパン屋は何時も毎月この日に新作のパンを出していたな。

 今では100種類くらいのパンがあってリストラされたパンもあったりなかったり。

 私達はそのパン屋に移動した。


「あ、3人ともいらっしゃい。アカザ様は今日も両手に花ですね」


「いや、両手も無いですよ。はは」


 パン屋の店主である女性のマリンさんは冗談混じりで言う。アカザが泣くから辞めて上げて。


「今日の新作のパンお願いします!」


「焼きたてがもうすぐ出来るから待っていてね」


「はい!」


 ピシッとしながら手を挙げるモカ⋯⋯可愛い。うん、可愛い。この時アカザと心が1つになる。

 モカは見た目が幼いからね。良い意味で。

 もうずっとそのままでいて。


 新作のパンを貰って食べて移動を再開する。

 心地よい風を感じながらアカザとは別れる事となった。

 事故を装ってボディタッチさせるためにアカザに突進したり蹴飛ばしたりしていたのでアカザは痛そうだ。

 その都度モカが急カーブしてちょこまか移動するので意味が無かった。もしかしてモカってアカザが嫌いで回避してる?

 いや、ないな。

 二人でいる時にアカザに関する相談を受けている。

 モカもモカでアカザともっと親密になりたくて頑張っているようだ。ただ、目先に自分の心が動かされてすぐに意識から離れるだけなのだ。


「ちゃんと私が送り届けるから安心して帰りな」


「僕は君のせいで痛いよ」


「レイアちゃん何かやったの?」


「ううん、何も。アカザの妄想だよ」


「おい」


「そっか」


「⋯⋯」


 モカの笑顔炸裂。私は少し微笑む。アカザ黙る。私の完全勝利。


 さて、送り届ける際に注意する事がある。貴族とか関係ない。今は既に夜だ。そんな時に近道なんて使えない。成る可く街道を歩くようにしないと行けない。

 さもないと誘拐されるぞが有名な話だ。

 あんまし無いけどね。

 だが、今回はモカが急ぎの用事があるとの事で近道をする事に。


「うぅ、暗いのってやっぱり怖いな〜」


「私が守るよ」


「レイアちゃんって男前だよね〜」


「怒って良い?」


「ごめんなさい」


 私は女ですよ〜だ。

 さて、冷静になろう。

 背後5時の方向に二人、反対に二人、正面に3人か。

 完全に目的があって来てるな。学園の出口から付けてきやがって。

 アカザが居る時に来てくれたらアカザの好感度を上げれたかもなのに。

 ま、アカザが居なくなったから備考が大雑把になったのかな?

 舐めてんの?


「モカは魔法の練習している?」


「し、ひてるよ〜?」


 目が泳いでいるよ。バレバレよ。


 魔法には才能によって決まる。人の最大魔力量、使える適正属性。

 努力で変わるのは魔力操作だ。

 属性にも色々あるが私は『火』と『水』と『電』と『空』と『風』と『土』である

 空間属性の『空』は便利な空間収納魔法が使えてかなりレアの属性だ。

 武器とかしまえるのでありがたい。


 路地裏に入ると人の気配が動く。⋯⋯⋯⋯この光景はモカには見せれないよ。


「モカ、少し目を閉じていて、お願い」


「え、分かった」


「あと耳も」


「ん?分かったよ」


 モカは耳を手で塞いで目を閉じる。

 相手は合計7人、すぐに終わらせる。

 玉は麻酔弾、セミオート式拳銃を取り出して背後の4名が飛び出るタイミングに合わせて射出。

 眉間を4人ともに見事に命中させて眠る。

 前方から責めてくる3人の人を確認。


「守れ、風壁」


「な、なんだ?コレ!」


「叫ぶな」


 私は3人の前に風の壁を形成し動きを阻害。その隙に麻酔弾を放ち風壁を解除する。


「こい、悪魔デーモン達こいつらを回収しろ」


『かしこまりました』


 私の背後に一瞬で現れた私と契約した悪魔達がコイツらを回収した。

 そして私はモカにもういいよと言った。

 悪魔は契約を反故にしない限りは基本的に問題無い。


 モカを家に送り届けた。

 別れ際に、さようならとモカが抱き締めて来たので私も抱き締めてさようならと言った。


 家に帰って拷問室に速攻で⋯⋯その前に晩御飯を食べた。

 拷問室に入るとアイツらを回収した悪魔とアイツらが縛られて居た。


「おい、お前ら」


「⋯⋯」


「はぁ前回の死体処理助かった下がってくれ」


『御意』


 悪魔を下がらせて再び7人、女性二人残り男性のコイツらに話しかけた。


「で、私或いは友に何の用がある?」


「か、金が欲しかったんだ」


「金?」


「そうで!お前ら貴族のせいで俺達はこんな風になったんだ!」


「分からん。具体的に言え」


「貴様ら貴族が俺達を権力で脅して使い潰した!何人も死んで、それでも何の対策もしないで!最低限の食事と水!俺達は限界だったんだ!だから金を憎き貴族から取り返す為にお前らみたいな甘ちゃんを誘拐しようとしたんだ!」


「で、まんまと返り討ちにあったと」


 はぁ、コイツらは嘘が下手なんだな。


「違うだろ?」


「なに?」


「違うよな?お前らは意図的に私達を狙って居たよな?校門前からずっと居たよな?ずっと気配頑張って消しながら近づいて来て居たよな?お前ら普通に武器持って居たよな?お前ら普通に服着てたよな?何が使い潰された?阿呆なの?ならソレっぽい動きや格好しろよ馬鹿」


「⋯⋯な、何を⋯⋯」


「言えよ。誰に命令された?言えよ。言わないなら言うまで、言いたいと言うまで苦しめる。安心しろ、拷問はしない。私は依頼されるまではしないんだよ復讐代行者みたいな者だしね」


 そんな仕事もしているのは事実だ。


「だが、言うまで君達は苦しむよ?言えよ」


「だ、誰が言う⋯⋯」


「こい」


「如何なさいましたか?」


 私の背後に悪魔達のリーダー悪魔公アークデーモンのベルゼブブが来る。

 見た目は綺麗な黒髪の女性なのだが性別は無い。正確にはどっちにでも成れる。私が女だからこうしているようだ。


「ベルゼ、お前の遊び道具にしていいぞ。言いたいと言って来たら私に言ってくれ」


「かしこまりました」


 私は拷問室から出て風呂に入って上がるとベルゼブブ、呼称ベルゼが悲しい顔をしながら来た。


「吐きました」


「ま、そこそこもった方だな」


 話を聞いて解放してやった。私は私利私欲で基本的に殺さない様にしている。


「へ〜私の殺しね。アイツら殺し屋だったのか」


 ヘマしていたつもりは無かったのだが、ヘマしたようで私がとある国の重役を暗殺した事がバレたようだ。


「もしかしたら」


「ベルゼの言いたい事は分かるよ。あっちにも悪魔が居て死体の記憶を見た、だよね?悪魔は精神干渉が得意だからそう言う事も出来る奴は居る」


「私は無理ですがね」


「どうかね?」


 私は明日に備えて寝た。



 翌日もモカと合流して学校に向かって進んだ。


「昨日何かあったの?私に目とか閉じさせて?」


「ちょっとゴキブリが居ただけだよ」


「ありがと」


「うん」


 モカは少しだけ虫が苦手だ。


 登校中も少しだけ余裕があり少しだけの寄り道は出来る様になっている。

 そして、猫耳のカチューシャを見つけたモカは歩き出してそのカチューシャを付けて私に向けて少し腰を曲げて。


「ニャー」


 そう言って来た。


「うん、良き」


 可愛いね。うん。アカザ残念だったな。



 学園に着くと何時もの流れでアカザはモカの手を握ろうとする。

 だが、今回の朝の司会当番がモカの事もありモカは早めに行かないといけなくて、焦って走って校内に入って行く。


「も、モカ」


「アカザ、今回も失敗だったな」


 私はアカザの肩に手をポンポンと乗せて励ました。


「じゃ、私も行くね」


 私もモカを追った。



「えーだから魔法と言うのは⋯⋯」


 魔法の授業は今日もつまらない。実技にしない?


 放課後、今日私は本気を出す⋯⋯予定だったのだが部活だと言うことを忘れていた。

 金の関係状私とモカは部活をやっていないがアカザは違う。

 アカザの見学をしにしかない?とモカが言うので付いて行く。

 正確にはモカが魔球部(アカザがやっている部活)を少し見学したいけど1人だと恥ずかしいから一緒に来てくれないかな?だった。


 魔球とは掌サイズのボールを魔法を使って色々なやり方でキャッチャーと呼ばれるボールをキャッチする人に投げる。そして、相手はそのボールを棒と魔法を使って打ち返す競技だ。

 本当はもっと細かいのだが、詳しくは知らん!


 アカザはボールを投げる方だった。


「アカザ君頑張ってぇ!」


『アカザ様応援してまーす!』


 モカとアカザの関係は学園にリークされないように私がしているので恋人同士だと知っているのは私くらいだ。

 そして、アカザにはファンクラブがあり今日も今日とて元気だ。モカの声援が掻き消される。

 アイツらどかそうかな?

 だが、愛の力はやばいのかアカザはチラリとこちらを向いて、モカを確認した瞬間にニヤけて(ファンクラブからは爽やかな笑み)ボールを投げる。


「あ、あいつ」


 私は動いた。モカを見てアカザは自分の全力を使ったようで風と火の魔法を使って加速させたボールをキャッチャーに投げる。

 アカザの実力は成績上位クラス。普通のキャッチャーでは無理だ。

 ビビって震えて動けないキャッチャー、後から自体に気づくアカザ。遅い。

 私はボールを弾くバッターと言う役割の前に来て、棒を振るのを忘れているようだ。

 私は片手を前に出して魔力を操作して属性関係なく魔力さえあれば誰でも使える強化系の魔法(才能で性能が変わる)で手を重点強化、そしてボールをキャッチする。


「レイアさん、助かりました」


「何しとんじゃあ馬鹿野郎!」


 私は怒りを込めてボールを投げたアカザに向かって。

 アカザ普通にキャッチ。ただの投げでホームもクソも無い私のボールは簡単にキャッチ出来たようだ。

 モカの元に戻るとモカが半泣きで大丈夫?と両手を汲まなくチェックされた。


「良かった〜心配させないでよ!」


「ごめんね」


 頭を撫でると、「そんなにちょろくないぞ!」と頬を膨らませるモカ。逆にそれが可愛いんだよ。

 アカザは私に申し訳なさそうなそれで居て何か嫉妬していそうな目を向けて来るので私は目を泳がした。


 部活が終わって放課後になった。

 私達は帰り道を進んでいる。


「本当に助かったよ」


「本気出すなよ?責めて同格の相手にしな。危険だよ?」


「いや、ほんとにすみません」


「そうだよ!アカザ君、レイアちゃんに何かあったら私アカザ君を恨むからね!」


「モカ〜」


「モカ、私では無くキャッチャーを心配してあげよう」


 アカザの半泣き、ファンクラブの人達には需要がありそうだな。



 それから数日後、学園の休みの日となった。

 3人でとある場所に遊びに来た。

 冒険者と呼ばれる冒険者ギルドに登録した雑用したり独自に魔物を討伐して報酬を得る人達の戦闘大会に来ている。


「誰が勝つかな?」


「僕はあの黒髪の⋯⋯」


「私はね〜」


 2人はかなりの至近距離で誰が勝つか予想している。

 ちなみに2人の間の手を見ると互いに手を繋ごうと手を動かしていた。

 で、そのせいで2人の手が合う事がなかった。

 どっちか受け身をしようか?ま、それで出来なかったからこうなっているんだけどね。

 2人の自然な会話の中で頑張ろうとしている姿は微笑ましい。


「レイアちゃんは誰が勝つと思う?」


 モカが私に聞いて来た。


「私はあの黒髪の女性かな?」


「え、1番弱そうだけど?」


「アカザ君、女性差別?」


「違うよ!」


 ちなみに私が勝つと予想したのはベルゼだ。

 情報集めと金稼ぎに冒険者をやって貰っている。

 こんな奴らの敵ではない。

 私の予想は見事に的中してベルゼが圧勝した。


「レイアちゃんの予想が当たったね!」


「まあね」


 その夜、解散した。





 世の中様々な人が様々な人に恨みを持っている。

 例えば私に依頼しに来たこの見るかに貧乏そうな窶れた女性。

 私は自分の見た目を隠すための変装をしてその人の会話を聞く。

 お茶等を使用人達が出す。


「実はビューマン伯爵家の次男を殺して欲しいのです。成る可く苦しめて」


 私の事を知っていると言う事はだいたいそんな話だとは分かっていた。

 私の所に来るって事はそれ相応の覚悟があるのだ。


「何をされたんですか?」


 ビューマン伯爵家の次男は有名だ。全てが噂と処理されているが。ま、良い噂は無いね。


「私の娘なんですが⋯⋯」


 そこからの話は女子の私的には気持ち悪い事この上無かったね。

 やはりこんな外道は居る時は居るのだ。

 この女性の娘さんは仕事帰りの夜道でとある人達に誘拐されたようだ。

 そして、娘さんが誘拐された先は牢屋であり中に入って来た男性が数人居たとの事。

 それが今回の外道、ビューマン伯爵の次男だった。

 次男は娘さんの体を気に入ったようで自分の奴隷となれと命令して娘さんはそれを拒否。

 だが、短期の次男は娘に暴行、性的暴行もされたようだ。

 そして、行方が分からなくなってから依頼者は探したようだ。

 だが、1ヶ月が経っても見つからない状況になり警備兵と言う国の治安を守る人達に相談。

 そして、見つけ出した時には時既に遅し、そして主犯の次男は逮捕された────だが、証拠不十分として釈放された。

 無罪となった。


 依頼者は激怒した。自分の娘の尊厳を全て奪われて、だが犯人は罪に問われ無かった。

 そして、恨みを持つ人達を集めて代表で来たようだ。


「分かりました。私にお任せください」


「どうか、私の娘、私達の復讐をお願いします」


 国民を守り国を豊かにする貴族と言う肩書きを持った害虫を1匹処分しようか。





 調べた結果、こいつは夜の店に毎日出掛けているようだ。

 そこを私は狙ってまずは捕まえる。

 掴め方は簡単だ。捕まえる時にも痛みを与える為に紐状の物で首を縛って酸欠で気絶させる。


「な、なんだお前は!」


「ゴミを処理する審判者だよ」





 拷問室でコイツの拷問を準備した。

 まずは足と手を固定して上げる。


「起きろ」


 私は水の魔法を使って無理矢理起こす。


「⋯⋯な、なんだガキ!こ、この我を誰だと⋯⋯」


「起きてそうそうかよ」


「ゲブ」


 私はただの鉄の棒で叩く。歯が数本折れたようだ。


「お前は様々な国民の女性を拉致しては遊んだ良いだな?」


「⋯⋯だからどうした?」


「はぁ?」


「だからどうしたのだ?!ただの生産価値の無い人なんて俺らみたいな生産価値のある奴の道具に過ぎないんだよ!」


「反省はしてないのか?」


「何を反省にする?」


 反省は無し、つまりコイツの最後の生きるチャンスは無くなった。

 せっかくチャンスをやったのに。


「まずはきちんと口を開けてもらおうか」


 鉄の棒を使ってぶん殴り顎を外す。絶叫が響き渡る。


「ふ、ふざけんなぁ!お、お前は何様だ!」


「言ったでしょう?審判者だと」


「あぁん」


「もっとお前の顔を壊して良いか?」


 私は数回、何回も顔を鉄の棒で殴る。

 骨の割れる音が響き痛みに堪える事が出来なくなったのか次男はこう言い放つ。


「わ、わかった。こうしょうしよう、おれにはかねがある。たんまりかねをやろうだから、も、もうやめて」


「⋯⋯仕方ないな〜分かったよ」


「ほ、ほんとうか?」


「うん、お詫びの代わりに食事を上げるよ。ご馳走だよ」


 私はとある物体を大量に乗せた皿を持って顎の砕けて口を開ける事しか出来ない次男の口に突っ込んだ。

 そして、鼻を塞げば呼吸を必要とするコイツはコレを飲み込む。


「分かるか?これはカミラ虫って言う肉食の虫だよ」


 口の中に入って行き内側から肉を食らって行く。

 食道も何もかもが引き裂かれ血が流れてもがき苦しむ次男。

 数分後、あの世に逝った。

 後は悪魔が処分してくれる。証拠も残らない。


「さて陛下の所に行くか」


 国王にコイツが行った事の報告や調べて貰う事にした。

 国王の情報収集能力はずば抜けて高い。ほんと、頭がおかしいくらいに。

 私の情報はあまり知らないようだが悪魔達が警戒しているのだろうな。




 そんな私は自分の事を隠して今日も今日とて友の行動を見て微笑んでいる。

 あぁ、モカ達が付き合って4年目に成る前には手ぐらい繋がせてやりたいな。ほんと、まじで。ある意味このカップル謙虚堅実だよ。


 そんな私のちょっと変わった普通の人生は続く。

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