操られぬ人形

縛る縛る、糸が一本二本。

『責任』『過失』


絞める絞める、糸が三本四本。

『金銭』『債務』


壊す壊す、糸が…『将来』彼を壊す。


操られぬ人形を、糸は要らぬ入らぬと排除する。操られぬ人形に差しのべられるクモの糸はなく、彼は操られた人形たちに排斥される。



彼は疲れていた、糸が抑えていた自尊心に。

彼は泣いていた、糸が繋いでいた温もりに。



そんな人形に太めの糸ひとつ。木にぶら下がったクモの糸、すがった人形は糸にその身を預ける。


縛る縛る、糸は人形を決して逃さず。



絞める絞める、 糸は人形に食い込んで離さず。




壊す壊す、糸は人形を…。






木からぶら下げられた彼はまるで『操り人形』のように力無く風に揺られていた。

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『操られぬ人形』 居倉首領 @IkuraDon

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