戦場稼ぎという最底辺の層に属しながら逞しく生きる主人公と、ヒエラルキー最上位に居ながら自分の居場所を見つけられない騎士の短い旅路と交流の物語。あまりに違いながらも、互いを求める感じが良かったです。派手なスキルや戦闘などはありませんが、戦場稼ぎの暮らしの様子や旅の途中の風景が丁寧に描かれ、短い旅の中で徐々に心を許して行く主人公の描写に引き込まれました。決して長くない本作、一読の価値があると思います。
主人公のリンと王国の姫にかけられた呪いを解くために呪者を追っているウィルの旅物語。読みやすい語り口につられて物語にどんどん引き込まれていきました。文章から滲みでる優しさがとても好きです。
戦場荒らしのリンが、人探しをするウィルに出合い、彼の手助けをする事に…。リンの心を、波にたゆたう船にたとえた描写は、驚くほど美しく景色が浮かびます。海の波、鳥の羽ばたき、読み手をリンが思う感情へ揺さぶります。素晴らしいです。是非ともお読み下さい。期待を裏切りません。
戦場には、死体が転がる。血のにおいが充満し、余程の猛者でもその場にいたいとは思わないだろう。しかし、そこで手に入れるもので食い繋ぐ者たちが存在する。主人公・リンもその一人だ。戦場荒らしはご法度。見つかれば、即殺される。それでもそれしか生き方を知らないリンは、その日も戦場に赴いた。しかし運悪く、兵士に見付かってしまうが……?戦争で全てを喪いながらも強く生きるリンと、謎の男を追い続ける騎士。二人の旅の果てにあるものとは?短くとも、内容がぎゅっと詰まったハイファンタジー!
ネタバレになってしまうので詳しく書けないのが残念ですが、どこか影のある剣士と跳ねっ返りの強い戦場荒らしの主人公の掛け合いのテンポ、雰囲気がとても良くふたりとも好きになりました。短い中でも分かりやすく語られる各国の状況設定、主人公の回想を主として語られる構成も巧みで、とても面白かったです!
最初は、ヒヤリとするところからスタート。読み手を飽きさせることなく、あっという間にラストへ。是非とも、ご一読を!!!