自分を失う事によって、自分を見つける一歩を踏み出す、美しい物語でした

初めてのレビューなので拙いかも知れませんが、思ったままを書いたつもりです。

私は、Twitterで勉強用の小説募集からこの作品を知り、読み始めたのですが、途中から技法の学習すら半ば忘れ物語の世界に取り込まれていました。

ファンタジー要素が現実世界に自然に溶け込んでいる世界感(私の好みにドストレートでした)や、主人公のハチと昴の確立したキャラ性も勿論魅力だったのですが、何よりもハチの心の成長が決め手だったように思います。

主人公のハチの、若さゆえの悶々とした思いが若干のファンタジー要素を絡めながら、緩やかに優しく紐解かれていく内に、自分の心のうちにあった小さなわだかまりもが、溶けていくような感覚を覚えました。
大きな絶望に打ちひしがれているわけでもなく、救いようのない状況にいるわけでもない。
そんな日々の中でも、誰しもが心のどこかに抱き、なあなあにしてしまうような苦悩に焦点を当て救ってくれる物語です。

文も過不足なく美しく、ハチの心の動きをありのまま渡してくれます
正直間違いなくもっと伸びて良い作品だと思いました(なんならいつか書籍化して文庫になって欲しいです)

最後に、私の募集に参加してくださり、この物語に出会わせてくださった作者様。本当にありがとうございました。

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