「きょうが出る」

「よみごさん」という占い師のような仕事がある土地出身の男性が、語ってくれた少年時代のお話。そのよみごさんは、彼の父に対して、いつもとは違う不吉なお告げをした……。
読者が後輩から聞いたという体の実話怪談風ホラー短編。全貌が明らかにされていないことが、より一層不気味で、後味の悪さがあります。
恐ろしい怪異に対処する方法はあっても、人の心によって惑わされてしまうことがあります。それに対する融通の利かなさこそが怪異であって、だからこそより怖く感じるのだと思います。