第111話 副支店長は商会をクビになった
コネで商会に雇われている副支店長だけど支店長はかなりご立腹だから副支店長が親に泣きついてこの店で働き続けることは出来ないだろう。
私も国同士の問題まで発展するような大事にはしたくない。
居続けたら今後もトラブルになりそうな副支店長だけファミーユから居なくなってくれればね。
「あの……支店長さん。副支店長が私の騎士に対してしたことはこの国の法に触れていますし、許されることではありませんが、国同士の問題にまでしたくはありません。
ファミーユの町は、スクラルド王国中で獣人を含め一番多くの他種族がおりますから副支店長だけ出ていってもらうだけで済ますというのではダメですかね」
「アイリス様がそれでいいというのでしたらこちらとしてもありがたいことです。
スクラルド王国とイスタリスタ共和国の国力を考えましてもこちらに勝ち目は全くありませんからスクラルド国王が属国にと言われてたとしたら反論の余地なく決まってしまいますからね。
私もファミーユで店を続けたいですし、アリステラ公爵領だけでなく他領にも支店を出したいと父も言っておりましたからね」
支店長も両国の国力を考えてのこともあるけど、私と同じく問題を大きくしたくないのだ。
副支店長がコネであったとしてもクビにするだけで済むならその方がいいという思いなのだろう。
支店長のカトリーナの父親がナハムル商会の商会長ってことなのかな。
「支店長!私を抜きに話を進めないでください。
お父様に相談させてください」
「まあ、いいですよ。財務大臣にも商会長である私の父にも知らせなければならないですからね。
商会長と財務大臣に手紙を書きますからそれを持ってマイケルと一緒にイスタリスタ共和国に帰国し手紙を届けてください。
あなたの処遇については商会長に任せるので、クビにならなかったらマイケルと一緒に戻って来ればいいです。わかりしたか」
「わかりました」
店にこれ以上居させてもまたトラブルを起こされても迷惑だから手紙を届けさせるという役目を任せて帰国させるんだね。
カトリーナさんの話だと副支店長の父親でもどうにもできないと言っていたから副支店長がお願いしてもナハムル商会を辞めさせるだろう。
商会長も手紙を読んで副支店長をこのまま働かせておくメリットがないからクビにするだろう。
カトリーナさんは、副支店長と一緒に店の奥に戻って行った。
私たちは、対応してくれた店員さんから店の魔石や宝石を見せてもらって、良さげな魔石があったのでアイリスさんは購入することを決めた。
「こちらの魔石をください。おいくらですか?」
「今回のお詫びとして、無料で差し上げるようにと支店長から言われておりますので、お代は結構ですので、どうぞお持ち帰りください」
「タダで貰うわけには行かないです」
「そうですか。では割引いたします。こちらの金額になります」
「!!」
私は驚いた。この魔石がこんなに安く購入できるなんて、アイリスさんはプレゼントだからタダで貰うわけには行かないと言って支払うと言ったので、割引きしてくれることになったけど、これそれほど大きくないとはいえドラゴンの魔石だよね。
それが金貨一枚なんて……どんだけ割引されているんだ。
アイリスさんはわかっていないみたいだけど……支払いを済ませたので、店をあとにし、買ってきた魔石に私が色々付与したり指輪に加工したりした。
誕生日当日にプレゼントを渡したら、マロンさんはとても喜んでくれたとアイリスさんから聞いた。
三週間後にカトリーナさんが屋敷に来て、副支店長がクビになったと教えてくれた。
商会長は、手紙を読んで、即クビにしたらしいし、言っていた通り財務大臣である父親に頼んだようだが、激怒されただけだったようだ。
すがり付いて撤回して貰おうとしたらしいのだが全く相手にして貰えず、クビが撤回されることはなかったとのこと。
捨てられた転生幼女は無自重無双する 紅 蓮也 @-T2Ya-
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