第110話 支店長登場
「何を騒いでいるのですか!ご来店くださっているお客様にご迷惑でしょう」
「支店長。申し訳ありません」
副支店長を含めた店員が店の奥から出てきた女性に頭を下げた。
今は私たちしか客がいない。
そして騒ぎの原因は、副支店長と私たちだから他の客には迷惑は掛けていない。
まあ、私たちも客なのである意味では迷惑掛けられているけどね。
この店で一番偉い人が出てきたみたいだがらここは、この女性が副支店長と同じならこちらでまとめて対処しないと行けないけど、とりあえず支店長に任せよう。
「私、支店長を任されておりますカトリーナと申します。
お客様。ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません。それでいかがなされたのでしょうか?」
支店長は、私たちの元にやって来て頭を下げた。
これなら支店長のカトリーナさんに任せて大丈夫かな。
騒ぎの経緯を話す必要はあるけどね。
「支店長!!このような者に頭など下げてはいけません」
私たちに頭を下げたカトリーナさんに頭を下げてはダメだと副支店長が言った。
粗相があれば客に対して頭を下げるのは普通のことだと思うし、カトリーナさんが頭を下げることになった原因はあんただよね。
「私は、アイリス・フォン・アリステラと言います」
「!!」
私が名乗ると副支店長は驚いて、顔色が悪くなられましたが姓があるのは、王族や貴族だけですからね。
常識の無い副支店長でもそれくらいは知っていましたか。
副支店長なんか気にせず、カトリーナさんから聞かれたから説明しますか。
「それがですね。宝石か魔石が欲しかったので、こちらの店員さんに見せてもらえるように頼んでいたら副支店長が来られてました。
そして私たちを見て、ガキの来るようなところではないと言ったり、私の護衛騎士であるカイトに対し、この店は獣人お断りだから出ていけ、獣臭くなったから営業妨害で訴えると言われたのです。
なので、スクラルド王国では、他種族を差別するのは、法で禁止されていると説明して差し上げたらイスタリスタ共和国では、獣人は奴隷として扱っているからここが他国であるスクラルド王国にそういう法があっても共和国と同じ扱いをしても問題ないと言われてしまったのです」
「副支店長!!お客様が話されたことに間違いはありませんか?」
「はははい。貴族の方だとは知らなかったのです」
何だそのいいわけ!貴族だろうと平民だろうと客に対して失礼があってはダメだろう。
店の売り上げが下がるとしたら副支店長の客対応に問題があるからだよ。
「何ですかそのいいわけは!納得出来ませんよ。
客商売なのですから身分に関係なく、対応するものです。
私は副支店長。あなたを営業妨害で訴えたいくらいです。
私たちは、イスタリスタ共和国の国民ではありますが、ここはスクラルド王国ですからスクラルド王国の法に従うのが当然のことなのですが、あなたは店を潰したいのですか?
しかもナハムル商会は一〇〇%国の出資よる商会です。国同士の問題にしてイスタリスタ共和国を滅亡させたいのですか」
「そんなつもりはありません。お父様に頼めば何とかなりませんかね」
「あなたにそんなつもりがなくてもそういうことになってしまう可能性が今のところ高いのです。
あなたの父親に頼まれ商会で雇いましたが、その父親が財務大臣であってもどうにもできません。
国のトップ同士の話し合いになってしまうでしょうね」
一〇〇%国の出資ってことは、国有商会ってことじゃん。
この副支店長……コネで商会に雇ってもらったのか。
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