第4話、第5話そして第6話の補足あるいは言い訳
小説を書き始めて1年ほど経過。ようやく気が付いた事が二つある。
一つは、人が作り出した物具には全て名づけが行われている、ということ。型番以外にも一般名があることに作者(私)などは大いに感心した。其々、其の道のプロにしか知らない名前ばかりだとは思う。特に工業製品や伝統工芸品を構成するパーツの一般名については、知られていない物の方が多いのでは無いだろうか。
二つ目は、情景描写が如何に難しいコトであるか、ということ。山岳小説や旅行記などスラスラと読める良作が多い。読み進めると情景が目に浮ぶ。それが当然のことだと思っていた。だが自分で書くとなると見えない壁にぶち当たって筆(タイピング)が進まない。読み返しても情景描写と心象が異なる。作家さん達は、何を描写させても、美しくて短い文章で書き上げてしまう。究極の圧縮技術を持っている。なかなか真似できない。
拙作のサルベージャーズで、物語に臨場感を持たせようと、主人公キースたちの旅の途中の様子や風景変化、それに拠点の設営風景など、書くには書いた。しかし、狙ったような臨場感は未だに実現できていない。
気づきは大切。カクヨムには感謝。それはさておき、以下、用語の説明。
■第4話
【SI基本単位】について
【ど・ファンタジー】にSI基本単位系は許されない。身体尺ならば、【ど・ファンタジー】の現実感が増す。没入感を阻害しないというのは大切。【ど・ファンタジー】には、やはりヤーポンか尺貫が似つかわしい。敵と戦う場面で、交戦距離を歩数で表している作品を読むと、嬉しくなる。主に作者(私)が。
とは言え、シュメール文明の単位系を使うというのは、衒いが過ぎて嫌味になる。お薦めできない。
【ど・ファンタジー】について
トールキンの指輪物語は【ど・ファンタジー】。ハイファンタジーとは、なろう系のTEN・SEIであり、TEN・IEEであり、ORE・TUEEEEEであり、ZAMAAAAAである。なお、どエルフさんが登場する例の怪作は【ど・ファンタジー】。
【如何あれども、斯く在れば、然に有り】について
怪しげな古語風表現。魔女の娘が、外なる神側に振れている場合の発話。口の動きと聞き取れる言葉には齟齬が生じている。
これは、魔女の娘の権能によって、人外の言葉を人の言葉に無理やり翻訳しているために発生するズレ。丁度、映画の吹き替えのようなもの。怪しいまでに漢文直訳調になる(という設定)。
【御伽噺】について
祀ろわぬ者たちにとって現実はより厳しいという意味も込められている。祝福され、数多の加護を持つ者であっても、それが仮に勇者であっても死ぬときはあっさり死ぬ。この物語の登場人物たちは、そのような現実に向き合っている。
折角、加護を与えるのであれば、死んでも生き返るくらいの気前の良さが、神々に備わっていてもよさそうなものだ。ジェフリーを含む多くの冒険者たちが不条理さを感じている。
【天幕】について
タープ・テントやパップ・テントの類(いずれも軍事用)。必要に応じて、敷布を設置することもある。コールマンやスノーピークが提供する防水性や耐久性の高いグランドシートなど望むべくもない。この世界の冒険者たちはほとんど使わない。尚、高貴な方々の野営ではフッカフカな絨毯が敷かれている。
【天幕の設営】について
テントをソロで張ったこともない作者(私)が書くべきではない。ロープワークを含め、本作サルベージャーズにとっては、キモになる作業なので、臨場感を損なわぬ程度に暈して誤魔化しながら、書き綴ったのだが、結果的にマニュアルになった。情けないオチである。
この先、アンカーロープの設置とかで、『二重八の字縛り』の描写とか、どう捌くべきか、非常に悩ましい。不要な描写が多かったと猛省中。
【十分な量の薪】について
薪の総重量(乾燥重量)は三〜四
■第5話
【苦味のある柑橘類を砂糖で煮込んだ糊状の調味料】について
マーマレードのこと。マーマレードと書けば済む。わざわざ遠回しに説明するのは、作者(私)の悪癖。ちなみに中国語では「橘皮果酱」と書く。
【朝食】について
朝からステーキとは驚き。持久力を維持するには炭水化物多めが無難。ここは異世界なので、いつもガッツリ系ということでも問題にはならない筈。いや栄養学的には問題だ。書き上げてから失敗だったと気が付く。遅い。
【父親と娘】について
キースの本質は女性。男らしさを意識しないと、仕草、歩き方、話し方が、全てが優美で嫋やかになる。本人が男らしく振る舞おうとも、男装の麗人に間違えられる。第三者的には若い女冒険者にしか見えない。
キースは自身を助けてくれたジェフリーに懐いている。ジェフリーの方は、初恋の女性にそっくりなキースを自分の娘のように可愛がっている。
【安全帯】について
ハーネスのこと。キースが身に着けているのはシットハーネス。フルボディー型ではない。
【お年頃】について
アデレイドの秘薬の効き目が悪くなっている原因はキースの血中内に大量の中和抗体が生成されているため。お陰様でキースは生来の表現形に激変中。目出度く、ぼん・きゅ・ぼんに成りつつある。
【甲殻類の魔物の外殻】について
魔女の森に生息しているスベスベマンジュウガニに似た形状の魔物の外皮。毒はもっていない。このスベスベマンジュウガニ形状の魔物の体高は一八〇糎ほど。比較的巨大。可食部が多く、新鮮な状態で塩茹にするとかなり美味しい。
この外殻を使用した全身鎧も存在する。勿論、アデレイドのお手製だ。着込めば二足歩行の昆虫のような見た目になる。軽くて丈夫。魔力耐性が高く、耐火性、防水性もある。特殊加工された表面は特定の波長の電磁波を効率よく反射する。魔物たちには警告色として機能するので、この全身鎧を着込んだ者には弱い魔物が寄ってこない。翻って隠密性が皆無。
ジェフリーは、アデレイドに「何故、蟹ではなく
【防御結界の呪符】について
ギルドの符術師により、物理防御の魔法が込められたお札の一種。魔法陣と同様、時間経過で魔力が散逸してしまう。防御魔法は札や巻物にしても、攻撃的な魔法に比べれば日持ちはするが、一度発動すると効力を失う。
■第6話
【綱橋】について
チロリアン・ブリッジのこと。クライミング関連はカタカナ語が多い。異世界にはチロル地方は存在しない。やはりチロリアン・ブリッジという言い回し(フリガナ)は避けるべきだろうか?
人名とか地名とかで名付けされている物事の取り扱いは難しい。チロリアン・ブリッジとは、太綱を二本差し渡した状態のこと。
昔の日本でも、山岳地域の深い谷には、綱や蔓で作られていた橋が相当数存在していた。現代日本では国交省の安全管理基準ゆえに残されていない。安全第一。最早、ただの綱を身の丈の幅で上下に渡したモノは、遊び場にすら存在しない。残念である。
かろうじて観光資源として保存されているのが、福島県池田町の蔓橋や徳島県三好市の奥祖谷二重蔓橋だ。ちなみに奈良県吉野郡十津川村の谷瀬の吊橋は、力学知識の粋を集めたような近代的な形状に作り替えられている。
※ 最近、ジップラインという娯楽で儲けている人たちがいる。とりあえずグレーゾーンを駆け抜けろ!という感じ。バンジージャンプよりはマトモ(作者の個人的感想)。
【掛け帯】について
クライマーにおなじみのスリングのこと。異世界におけるナイロン繊維の代わりといえば、定番の蜘蛛の怪物/怪異アラクネが作り出す糸。そのアラクネの糸を使った平織の帯状の紐。
【擦れ当て材】について
エッジガードのこと。カネヒラが嬉々として被っている黒鉄色の兜と同じ素材。加工方法が異なるためか、半透明になっていて、光の加減で端々に虹色が浮かびあがって見える(という設定)。
断崖の縁に覆い被せて、その上に降下用の綱を掛けて使用する。縁角を覆う部分は若干波打ち、掛けられた綱が左右に大きく振れることが無いように加工されている。
表面は滑らに加工されいて、綱との間に生じる縦方向の摩擦を抑制する。また、緩やかな曲面が綱にかかる剪断力を低下させる。それらの特性により、綱の強度低下を防ぎ、降下途中の破断発生を抑制する。
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迷宮遭難救助隊の本編の 第4話 三条の滝の大岩 に戻ります。
https://kakuyomu.jp/works/16816700429103720529/episodes/16816700429128166512
迷宮遭難救助隊の本編の 第5話 万全の準備 に戻ります。
https://kakuyomu.jp/works/16816700429103720529/episodes/16816700429128213255
迷宮遭難救助隊の本編の 第6話 縦穴 に戻ります。
https://kakuyomu.jp/works/16816700429103720529/episodes/16816700429128280694
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