早くに母を亡くし、父と慎ましく暮らしていた三人の兄妹たち。けれど、ある日その父親まで失踪してしまいます。
途方に暮れていた兄妹のもとに駆けつけてきてくれたのは母方のおじいちゃん。
かくして三人の兄妹は、おにぎり定食屋を営んでいる甚五郎おじいちゃんに引きとられることになったのです。
しかしおにぎり定食屋につどうのは人だけではありませんでした。
猫又にたぬき妖怪に桜の妖など、ちょっと不思議で気のいいお客さまたち。
悩みもトラブルもあるけれど、勇気とやさしさとおいしいごはんで乗り越えてゆきます。
人も妖も、真心のこもったおにぎりを食べればみんな笑顔になれる。
やさしくかわいい妖たちと、おいしそうなごはんがいっぱいのあたたかな物語です。
幼い頃に母親を亡くした雪春。そして、さらには父親まで失踪してしまいました。
残された家族は、美空と彩花の妹二人。そして、そんな三人を引き取った、母親方のおじいちゃん。
そんなおじいちゃんはおにぎり定食屋を営んでいるのですが、そこの常連さんは、ちょっぴり普通とは違う人達がたくさん。いえ、人達といったら少し語弊があるかも。
なんとこのおにぎり定食屋。人間ではなくあやかしあやかし達が通っていたのです。
もちろん、あやかしといってもこのお店のお客さんや縁のある方々は、怖いものではありません。むしろ優しく温かみがあり、雪春達が困った時には力を貸してくれる。
気のいいあやかし達と一緒に食べるおにぎりは最高です。
時にはしんみりしたりハラハラする場面もありますが、みんなでそれを乗り越えていくたび、ますます心が温かくなる。
読むと優しい気持ちになれる、ほっこりあやかし物語です。
母を亡くし、父に育てられていた雪春、美空、彩花の三兄妹。
しかしある時父が失踪し、兄妹達はおじいちゃんに預けられることに。
お父さんが失踪。ですが切ないお話になるのかと思いきや、そうではありません。
三兄妹を引き取ってくれたおじいちゃんはおにぎり定食屋と営んでいるのですが、なんとそこは気の良いあやかし達が通う、不思議なお店だったのです。
そしてこのお話に出てくるあやかし達は、みんな優しいのですよ。可愛い猫又だの、頼りになるお侍だの、定食屋に通うのは良いあやかしばかり。
中には人に害をなす、ちょっと怖いあやかしも出てきますけど、それすらも根っからの悪じゃないって思えます。
そしてそんなあやかし達と心を繋いでいくのが、三兄妹の長男である雪春くん。彼、メチャクチャ良い奴なのですよ。
時にあやかしと衝突しても、持ち前の優しい心で、分かり合おうという姿勢を崩しません。
妹思いで友達思い。可愛い猫又の虎吉との掛け合いは、読んでいて和みました。
一緒に美味しいおにぎりを食べたら、きっと仲良くなれる。
そんな優しさと暖かさがつまった、あやかしとの交流物語です。
この作品を拝読していると作者様が何に価値を感じて大事にされているかということが伝わってきます。
それは現代社会で忘れられがちな、他人を思いやるということ、助け合うことではないかなと思っています。
主人公の雪春は母をなくし、お父さんが失踪して、妹の美空ちゃんと彩花ちゃんと三人で暮していました。ある日、おじいちゃんの甚五郎さんの所へ引き取られることとなり、学校を転校して知らぬ地へと移り住みます。
甚五郎さんはおにぎり定食屋さんを経営しているのですが、なんとびっくり、そのお店はあやかしたちの集う不思議なおにぎり屋さんなのでした。
甚五郎さんは見返りも求めずに人を助けるんですね、その姿に人情ってやっぱり捨てたもんじゃないとそう感じるんです。雪春が妹たちを思いやり、懸命に店で働く姿なんか見てますと真面目に感謝して生きるってそういうことなのだなと教えられるんです。
孤独を感じそうなときにそばに誰かがいてくれるということはとても温かいことです。だからわたしは身の回りの人に感謝していきたい、そう思えてきます。
可愛いあやかしもいっぱい出てきまして心はホクホクです。
大切なものがたくさん詰まった玉手箱のような心温かな物語。
心をそっと包むような優しさがあります。
おススメいたします(*´ω`*)