第5話 初恋の君へ
あの頃に戻りたい、と強く念じるとその頃の夢を見ることがたまにあった。ただ今回はその念が強すぎたのか、戻りたかった過去以上の昔に来てしまったようだった。
目覚めた私の前にいた君は小学生のままだった。ということは目線の高さが同じくらいなのは私も小学生だからだろう。多分学校の教室みたいな場所だったんだけど、よく覚えていない。というか、君と私は一回しか、それも小学二年生のそれほど仲良くなかった頃にしか同じクラスになったことがない。だから君と私は同じ教室で、クラスメイトとして普通に会話しているこれはよく考えれば確かに不思議な異空間だった。でもそんな違和感は夢の中では霧散していた。他愛無い会話しかしていなかったのか、起きたらその内容は全部忘れてしまっていた。でもなんとなく楽しかったことだけは覚えている。
温かい記憶の中の君は、おそらく私の中で美化しすぎているのだろう。君が記憶の中の君のままでいるはずがないのだから。いいことも悪いこともたくさん経験して私は大人になった。君のいない世界でも私は私なりに生きてきた。幸せなことも苦しいこともあった。君はどうだろう。あれから何年も経った。幸せでいてくれたら嬉しいと思う。
夢日記 京 @envyyou
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