手紙
くまきちへ
昨日は悪かった。でも、絶対にお前にはちみつを食わせるわけにはいかなかった。
お前の分のはちみつを盗んだには理由がある。
好き勝手にはちみつを食べる俺達の事を、蜂達はずっと恨んでたんだ。
俺達は気にも留めてなかったけど、あいつらはずっと復讐する事を考えてた。
真向勝負じゃ勝ち目はないと考えたあいつらは、長い時間自分達の毒を集めに集めて強い毒を作っていたんだ。
そして恐ろしい作戦を実行した。
俺達が食べてきたはちみつに罠をしかけた。
大量の毒をしみ込ませたはちみつを森の中に仕掛けたんだ。
俺はたまたま奴らがそれを仕掛けている所を見た。
だから次の日俺はお前とのルールを破った。
お前の領域の分のはちみつも盗んだんだ。
それがお前のはちみつを盗んだ理由だ。
でもお前はきっと疑問に思うだろうな。
じゃあ何でそれを知ってて、自分から毒入りのはちみつを食ったんだって。
最初から自分にもそう言ってくれればいいじゃないかって。
俺はな、あいつらがこんなにも自分達の事を恨んでいた事に今まで気付きもしなかった。
俺達は、何も考えずあいつらが必死でつくったはちみつを横取りしてうまい思いだけをしてきた。
巣ごと奪う時に、俺達は当たり前のようにたくさんの命も奪っていた。
今さら反省したって手遅れだし、それであいつらは許してなんてくれないだろう。
けど、せめてものあいつらへの詫びにと思ってな。食う事にしたんだよ。
でも、お前には死んでほしくなかった。
あいつらには悪いが、それは譲れなかった。
死ぬのは俺だけでいい。
ただ、こんなわがままあいつらには通用しねえだろう。きっとまた何か仕掛けてくるだろう。だからとりあえず、あいつらのはちみつは食うな。もう二度と。
後、ちゃんと教えてやれなくて悪かった。
お前の顔見たら、いつもみたいにふざけたくなっちまった。
死ぬ前に、しけた会話はしたくなかった。
楽しかったよ。最後にお前といつも通り喋れて良かった。
お前は、やっぱり最高に面白いよ。
お前の最後のはちみつ、食ってごめんな。
今までありがとう。
じゃあな。
またどっかで、会えたらいいな。
くまおより
僕のはちみつ 見鳥望/greed green @greedgreen
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