第1話

暗い視界に何も見えない世界がある日広がった。



(わぁ…。綺麗…。)



と思うほどその世界はキラキラしていた。

上には木があって綺麗な茶色だった。

空から雪が降ってきて、頬に落ちる。



(…なんて素敵な世界なんだろう…。)


と私は思った。


──もっと、この世界に触れたくて。

この世界を見てみたくて。

この世界を感じていたくて。


私はそんな好奇心にそそられた。

もっとこの地を踏んでみたいとそう思った。



(……少しだけ。後少しだけで帰るから……。)


そんな気持ちで私は一歩を踏み出したのである。

一歩、一歩。慎重に。警戒して。時より笑みを浮かべて。



───そこは高い木が連なる地だった。

小さな森のようになっていた。

木も手入れされたか分からないような生え方をしていてもうすぐで倒れそうな木なんてザラにあった。

私は最初この地はキラキラ輝いているように見えた。

今まで暗闇で出口を模索しながら生きてきたから。

でも今はここが少し寂しい地に見えた。

周りには枯れ木、覇気のない景色、乾燥しきった土、大粒の涙を溢すような雪。

全てが寂しさ、悲しさで溢れていた。


まだまだ道のりは続く。

長い階段のように。永遠に辿り着かないというようなそんな道のり。

私はもう木から数十キロは歩いていたのである。

まるであの暗闇のよう。

景色も変わらない。


(…どこか、開けた場所はないのかしら……。)


そう思ってもまだこの景色は続きそうなそんな気がした。

何せまだここはエリアの中間地点なのだから。


(……とりあえずここら辺で寝よ……。)


私は体の回復を優先にして寝る体勢に入った。


突然こんなところに来てしまった私。この世界は私がいた世界とは違って明るくて住みやすい世界だった。しかし、同時にここには命がこもってないような寂しさがあって……。

私は複雑な気持ちで一日を終えた。



さて、ここから前に進むのは正解だったのだろうか。それとも───────

進まない方が良かったのだろうか。


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夜の友達。 遠野豊花 @yutaka49

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