友人との冗談交じりの他愛のない会話、可愛い恋人との楽しい帰り道。家に帰れば料理上手な母の作る美味しいオムライス。
当たり前だけど幸せな日々。
朝 それは起きる 突然 崩れる日常 異常が加速する。
変わり果てた母の命を奪ってしまった罪悪感を感じる暇もなく始まる地獄。主人公、如月楓夜は、恋人の蒼木桃が生きていることを信じ、また会えることを支えに地獄を生き抜く物語。
最初はゾンビものかなと思いながら読み進めていましたが、明らかにゾンビとは違う異形の者の存在があり何か暗躍しているようなう闇を感じさせる描写が、他とは一味違うと感じさせてくれます。
それと、主人公である如月楓夜はただの高校生。チートも魔法もない彼が傷付きながら戦う様がリアルで、痛みが伝わってきて思わず顔をしかめてしまいます。ですが、傷付きながらもギリギリで知恵と機転を利かせ、生き抜く姿はこの作品の見どころだと思います。
また、出会う人がいつ消えてしまうのかのハラハラ感が凄いです。いい人だなとか苦手な人だなとか関係なく、それもいつ、どこでも関係ない。この世界がどれほど残酷で過酷なのかを嫌というほど教えてくれます。
謎も絡み考察も捗るこの作品、一度読んでみませんか?
家族が居て、友が居て、彼女が居て。
しかし、主人公の楓夜の穏やかな日常シーンは一転して、とんでもない世界に切り替わる。
ゾンビのような異形が蔓延る世界で、彼は多くの人を失います。
それでも楓夜は進み続けます――全ては、恋人の桃を探すため。
生きているかどうかも分かりませんが、もしもどこかで生きていたら。1人震えていたら……そう思うと、傷だらけになっても止まれないのです。
楓夜の戦闘シーンは、いつもヒリヒリします。
決してチートで戦うお話ではないので、生傷が絶えず……それでも進み続ける楓夜が痛々しく、憐れにも見えます。
次は誰が死ぬのか? ついドキドキしながら見守ってしまいますね。
どうもゾンビの正体は元人間らしいのですが、何者かに妙な手を使われて、異形に変えられている模様。
怒りに燃える楓夜は、果たして黒幕にたどり着けるのか――?