SS1−2 装い入れ替わり嫉妬えっち (最後にあとがきがあります)
「望ちゃん! 凛ちゃん入れてもいい?」
更衣室の外から声がする。
クラスの女子の一人だろう。
「こっちも終わったから入ってもいいよ!」
潮汐さんが返すと、部屋のドアが開かれる。
クラスの女子は後ろにいた人物にそっと道を譲り、その人物はゆっくり入ってきた。
「凛!?」
クラスに入ってきた凛は燕尾服に身を包み、黒く長い髪は編み込みのヘアアレンジになっている。
メイクのせいだろうか、可愛いという言葉より、綺麗や格好良いといった言葉が似合う。
それでも、表情はどこか恥ずかしさや困惑の色が見えている。
「はい、お互いどうでしょう?」
潮汐さんは凛の手を引き、俺の近くへ連れてくる。
凛との距離が近くなるとドキドキと同時に自分よりかっこいいのではないかと思ってしまう。
「海斗……が……可愛い……」
「凛が……カッコいい……」
お互いに見惚れていると、潮汐さんが笑いだした。
「じゃあ二人とも文化祭の時は給仕ね!」
そう言って彼女は手早くメイク道具などを片付けると、俺たちを残して教室から出て行こうとする。
「あ、私はそろそろ帰るから、文化祭の時衣装忘れないでね!」
小さく手を振り、潮汐さんは消えていった。
俺たちは潮汐さんを見送ると、お互いの腕などに触れる。
「やっぱり……女の子の格好でも腕は少しゴツゴツ……」
「凛はむしろ……華奢な男子って感じ」
凛はしばらく腕や胴体を触っていたのだが、少しずつ不満げな表情になっていった。
「どうしたの? 凛」
何も俺はしていないのに彼女の表情が曇っていくので不安になる。
すると凛は床に俺を押し倒そうとする。
「うおっ……ちょっ……凛?」
「ずるい……」
「え……?」
彼女は俺の肩を持って床へと倒す。
いつも以上に力が強い気がする。
「海斗のくせに……」
凛はそう言うと俺の背中をまさぐり始める。
「凛……何を……?」
彼女は何も言わずに、首の辺りにあるホックを外し、ファスナーを下げる。
「ちょっ……脱げるって……」
俺が抵抗しようとすると、さらに強く押さえつけられてしまった。
「脱がしてるの」
凛はメイド服の上半身部分を脱がさせてスカートより下だけ残した。
「これ、恥ずかしいんだが……」
俺が服を持って前を隠していると、彼女は俺の耳に舌を這わせた。
「海斗は今、女の子だもんね……?」
そう耳元で囁かれる。
吐息が耳にかかり、ゾクゾクとした感覚が背中から頭に抜ける。
「私が……いじめてあげる……れろぉ……」
凛は俺の耳にしゃぶりつく。
舌で転がしたり、甘噛みしたり、息を吹きかけたりしてくる。
俺もいつもと違う装いのせいか、不思議と興奮してしまって彼女になされるままになっていた。
「今日……触り方……ねちっこすぎる……」
俺の口から漏れた言葉を聞いて凛は少し加虐的な笑みを浮かべた。
「海斗のせいだよ……? そんなに可愛いのがいけないの」
彼女は俺の胸を撫でたり摘んだり、指の腹で転がしたりなど、まるで男性が女性にするような愛撫を俺にした。
時折耳元で囁かれ、唇を奪われる。
「そろそろ私も……」
凛はベルトを手早く緩めて、ズボンを脱ぐ。
男らしい服装からは信じられないほど色っぽい水色のレースのついた下着が現れる。
「ほら、舐めてよ」
凛は倒した俺の顎をくいっと持ち上げて
彼女の股に俺の顔を近づける。
「凛……?」
流石に今日の彼女は少しおかしくて不安になってしまう。
俺が躊躇っていると、凛は彼女の下半身を俺の顔に押し付けた。
「ほら、さっきまで気持ち良くなってたんだから私にもしてよ」
しびれを切らした彼女は俺の頭を掴むと自分で擦り付け始めた。
無理矢理やられてる女の子の気持ちが少し分かる気がする。
「苦しっ……凛っ……待って待って……」
彼女の下着に何度も顔を擦られ、顔中に凛の匂いがついてしまう。
男のような姿なのに香りは女性そのものだ。
俺が苦しがってるのを見て、彼女は一旦俺に頭を解放する。
「どうして……俺にちょっと嫉妬してる……?」
それを聞いた凛は色づき始めていた顔をさらに鮮やかにする。
「そんなわけ……海斗が可愛くなったのがいけない……」
「凛だって、俺よりカッコ良くなってるくせに」
彼女も俺も興奮しきっている。
凛は蝶ネクタイを外し、首元を緩めた。
「海斗……」
彼女は俺の首元や胸に吸い付く。
じゅぅっと濁ったような吸う音がした。
「可愛い……」
凛は恍惚とした表情で俺の顔を眺め、頬を撫でる。
一方俺も凛の頬を撫でていた。
もう一度キスをしようと顔を近づける。
凛も同じ気持ちだったのか目を閉じていた。
あと少し、もう数センチで触れる。
そのタイミングで教室にチャイムが鳴った。
気づけばもう下校時刻寸前。
完全に時間を見ていなかった。
「やばい……!帰らなきゃ……!」
「服着替えてないよ!?」
その後俺たちはドタバタと帰る準備をし、学校をダッシュで出た。
中途半端なところで終わったせいだろう。
凛も俺も高揚した頬のまま帰ったので、道ゆく人々に不思議な目で見られていた気がする。
その後、凛の家に行きいちゃいちゃしたのは言うまでもない。
<あとがき>
少しだけ、私のこの作品に込めた想いを聞いてください。
私にとってエロというものは性だけでなく生でなければなりません。
誰かと共にすることで生きる。
そして、次へ繋げていく。
そんな生きている息遣いがエロには必要だと思いました。
しかし、カクヨムのラブコメ、エロで釣っているものにおいてはほぼラブコメであって、エロは一要素。
ただ見てもらうための道具であるかのように私には映ったのです。
ある意味、この作品で何度もエッチをしたこと、その中での描写に細心の注意を払ったこと、心情。
それたちが私にとって、カクヨムエロラブコメに対してのメッセージだと思っています。
また、生きているのだからやはりその世界も生きていてほしい。
海斗と凛が例えばホテルに行ったとしましょう。
二人がいるホテルの隣の部屋にはやっぱり他の人がいて、同じように息をしている。
隣の建物は空き家かもしれないし、別の店かもしれない。
そんなものが感じられる作品にしていきたいと思っておりました。
最後に、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
初めてジャンル別週間五十位辺りに入った作品は初めてて私としてもとても楽しく執筆できました。
今後もぜひ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。
ではまたお会いしましょう。
あの時びしょ濡れだった死にたがり美少女を俺は救えたのだろうか? 明日波ヴェールヌイ @Asuha-Berutork
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