●マディ・ウォーターズ「THE LONDON MUDDY WATERS SESSIONS」(MCA/Chess)

ウルフ、サニー・ボーイとくりゃ、やっぱりこの人を外すわけにはいかない。大御所マディ・ウォーターズにご登場願おう。


1960年代、特にその後半、シカゴ・ブルースは白人のブルース・ロック・バンド(ジョン・メイオール&ブルーズブレイカーズ、フリートウッド・マック、ヤードバーズなど) の後押しもあって大ブームを迎える。その中でもことに白人ロック寄りの活動を精力的に行ったのが、前述のチェスの三大スターだったわけである。


1971年発表のこのアルバムも、タイトルに示されているように、マディが自分のバンドを引き連れて訪英、現地の若手ロック・ミュージシャンらとジャム・セッションを行って作りあげたもの。ハウリン・ウルフにも同様の企画アルバムがある。


英国側のメンバーがなかなかスゴい顔ぶれだ。ギターに今はなきロリー・ギャラガー、キーボードにスティーヴィー・ウィンウッド、ベースに元ブラインド・フェイスのリック・グレッチ、ドラムスに元ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのミッチ・ミッチェルとテクニシャンぞろい。


収録曲はマディの盟友ウィリー・ディクスンの楽曲(「アイム・レディ」「ヤング・ファッションド・ウェイズ」など)を中心に、自作曲、ビッグ・ビル・ブルーンジーの曲など、オーソドックスなブルースで構成。ロックっぽさを期待して聞くといささかズッコケるが、若き日のロリー・ギャラガーの溌剌としたプレイは聴きもの。マディ・バンドのギタリスト、サミー・ローホーンとの個性の違いを聴きくらべるのも面白い。


類似の企画にマイケル・ブルームフィールド、ポール・バターフィールド、バディ・マイルズらとのセッション「FATHERS AND SONS」(1969年)もあるので、そちらもぜひチェックしてみて欲しい。


(2000.12、原文ママです)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Prelude To Blues(私の推薦盤) さとみ・はやお @hayao_satomi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ