●サニー・ボーイ・ウィリアムスンII「THE REAL FOLK BLUES」(MCA/Chess)
上のアルバムと全く同じタイトルだが、いずれもチェス・レコードが当時企画したシリーズ。ちなみにマディ・ウォーターズにも同題のアルバムがある。
サニー・ボーイ・ウィリアムスンII、本名アレック・ライス・ミラーという。シンガー兼ハーピスト。一世・二世がいるとはいえ、まったく赤の他人なのでご注意を。1908年か9年の生まれで、1965年に亡くなっている。マディやハウリンに比べると、ヴォーカル・スタイルがいささか地味なので、チェス御三家のひとりとはいえ、ひろみ・秀樹に対する五郎のような存在なんである。
日本で彼の名前が知られているとしたら、ヤードバーズやアニマルズとの共演盤においてかも知れない。まだ正式レコード・デビュー前の初々しいヤードバーズ(リードギターはもちろんエリック・クラプトン)が老練というか老獪な彼のヴォーカルにいっしょけんめいバックをつけているので、興味のある方はそちらも聴いてみて欲しい。
ヴォーカルも渋い低音で味があるが、サニー・ボーイの面目はやはり、そのハープにあると思う。ことさらにアンプリファイせずナチュラルな音質なのだが、これくらいハープで「やるせなさ」を表現しきれるアーティストは、ブルース界広しといえど、ほんの数名ではないだろうか。
まずは、レッド・ツェッぺリンもアレンジして取り上げた「ブリング・イット・オン・ホーム」(これも2ndアルバム所収)を取っかかりに、聴きこんでいってもらいたい。ほんと、スルメのように聴けば聴くほど、その味わいが分かってくるはずである。
(2000.11、原文ママです)
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