各登場人物の心情が、良い意味で生々しい会話を通して伝わってくる文章で、とても面白かったです。また個人的に印象的だと思ったのは、感情の起伏や行動に、恋愛的な身体的接触のみならず、心筋梗塞・妊娠・HIV・肺の病気など、身体問題を関連付けて丁寧に描写されている点です。それらが上述の会話描写と共に、「男性同士の二十年後の再会」という一見夢幻的にも思える設定に対し、リアルさと読み応えを与えている所が、作者の技巧だと思います。
それまでは「普通」であった桜屋敷一家。父の大病をきっかけに大きく動き出す。自分に正直に生きようとする父。世間体を気にする母。父に理解を示す長男。問題の本質が良くわかってない長女。そして…続きを読む
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(304文字)
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