第47話 水族館③

「全然見れなかったね〜。」

「そうだな。」

 2人で苦笑いしながらイルカショーの会場を後にした。

「この後どうする?」

「まぁ、あとは軽く見て帰るか。」

「そうだね。」



 そして俺と陽華は水族館を満喫した。見たことのないような珍しい魚や変な形の魚など色んな種類がいた。その中でも一際目を引いたのが、

「おっきい!」

「これは、デカすぎるだろ...」

 巨大な魚、ジンベイザメだ。その体長は他の魚を軽く凌いでいた。

 2人して見惚れてしまった。その後再起動してジンベエザメと一緒に写真を撮ろうとしたけどなかなか上手くいかない。

「よければ写真撮りましょうか?」

 突然声をかけられて後ろを振り向くと、そこには水族館の係員の人が立っていた。

 お言葉に甘えよう。

「はい、チーズ」

 静かな空間にシャッター音が響く。撮れた写真はちょうどジンベイザメがバックに来た時のグッドタイミングだった。

「「ありがとうございます」」

 二人でお礼をして順路に従う。と言ってももうここが最後なので出たところは売店だった。

 売店には色んなものが売っていた。食べ物や飲料、服にぬいぐるみなど。隣の陽華の目がキラキラしていた。女子はどこでも買い物が好きなのだろうか。

「ねぇねぇ、これ可愛くない!?」

 早速手に持っているのはジンベイザメの小さなぬいぐるみ。

「そうだね」

 などと冷静に返しているが実の所僕はぬいぐるみが大好きでものすごく欲しい。めちゃ可愛い!

「せっかくだし一緒に買っておこうか」

 僕も一つ手に持った。一緒に買えばいい思い出にもなるしね。

「うん!」

 陽華が満面の笑みを浮かべる。こっちも可愛いな。

 それから僕たちはそれぞれにお土産を買って水族館を後にした。



「今日は楽しかったね」

「うん」

「私と付き合って良かった?」

 夕日で照らされた帰り道を二人で手を繋いで帰る途中、陽華がそう聞いてきた。

「どうした、唐突に?」

「そういえば付き合った初日も夕日が綺麗だったなぁって思って。」

 確かにあの時の帰り道も夕日が輝いていた。

「だから不意に思っちゃっんだ。もしかしたら先輩は私と付き合って後悔してないのかなって不安になっちゃったんです」

 陽華の顔が陰る。

 その不安はもっともな事だ。そもそも僕たちの関係はかなり歪なものから始まった。陽華が僕のことを好いていて告白。僕はそのとき陽華になんの感情も持ってなかった訳では無いが恋愛感情は皆無。しかも学校での立場は「お姫様」と「誰も知らない陰キャ」だ。そんな関係、普通なら一瞬で破綻する。むしろここまで続いたのは奇跡だ。でもそんな不安は全くの的外れだ。なぜなら

「全く後悔なんてしてないよ」

「そうですか!」

 再び陽華の顔に笑顔が戻る。

 今はまだ言う勇気がないけどいつかその時が来たら僕はちゃんと伝える。だから今は心の中に留めておく。

『好きだよ』

 と。



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 ものすごくお久しぶりです。とりあえず夏休み編はこれで終わったので次からは新学期編となります。ただ、今とても忙しいので続きがかけるのはかなりあとだと思います。書きたいとは思っているので書きます。出来るだけ早く復活できるよう頑張ります。

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付き合ってから始まるラブコメ バニショコ @Vanilla4649

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